「三島馬鈴薯」「能登志賀ころ柿」「十勝川西長いも」がGI登録2016年10月14日
農林水産省は10月12日に4産品の地理的表示(GI)の登録を発表した。これでGI登録された特定農林水産物は21産品となった。



同日、登録生産者団体となったJAなどの代表者に礒崎陽輔農林水産副大臣から登録証が手渡された。
◆三島馬鈴薯
静岡県のJA三島函南が登録生産者団体となった「三島馬鈴薯」は、品種はメークイン種。収穫を一つずつ手掘りで行い、その後、風乾貯蔵して一定の基準で機械選果している。肌目のきれいなジャガイモで市場からも高く評価され、同時期の他産地のメークインとくらべて2割から5割程度高い単価で取引されている。
生産者は70軒。生産部会長の平野光直さんは家族で6haを作付けしている。「炎天下での手掘りは厳しいですが、そこにこだわって継承させてきました。農協の営農指導も徹底しています。GI登録で生産者は俄然やる気に。新規就農にもつながれば」と話す。同JAの柿島直人代表理事組合長によると「農商工連携で三島コロッケを開発。行政ともタイアップしてさらにブランド化を進めたい」と今後の抱負を語った。
◆能登志賀ころ柿
石川県のJA志賀が登録生産者団体となった「能登志賀ころ柿」は原料に糖度が高い最勝柿を使用。人の手による柿もみ、ゆっくりとした干し上げなど伝統的な製法で作り続けられている。
JA志賀の新谷克己代表理事組合長は「ようかん状の柔らかい果肉が特徴。香港、台湾へも輸出を拡大し生産者所得の増大につなげたい」という。生産者は180人。部会長の新明侃二さんによるとこれからの3~4週間が干し柿づくりの時期で「丁寧につくり、熟成を進める」のが伝統だという。
20年前にくらべて市場価格は2倍以上になっており「みんなで品質の底上げを図ったきた成果」だと話していた。ただ、後継者不足も課題で今後はGI登録を機に集落営農組織の複合経営品目として取り組みを広めていくことも考えたいという。
◆十勝川西長いも
北海道の「十勝川西長いも」は現在、8JA(JA帯広かわにし、JAめむろ、JA中札内村、JAあしょろ、JA十勝清水町、JA新得町、JA十勝高島、JAうらほろ)が生産している。
安定供給をめざして生産拡大するなか、台湾で十勝川西長いもが高く評価されて約20年前から輸出を始めた。今やJAの産品として代表的な輸出品になっている。販売額は今年10億円を超す見込みだという。
JA帯広かわにしの有塚利宣代表理事組合長は「グローバルに打って出るにはGIが必要。これで十勝川西長いもが一層認知される」と話した。EUのHACCPも取得するなど世界を視野に品質保証にも力を入れている。来年からはJA鹿追町も出荷JAに加わるという。礒崎副大臣は「十勝は大変な台風被害にあったがいいニュースになれば。いいものを作れば世界で売れるという見本」などと話した。
そのほか水産物で初のGI取得となる「下関ふく」(下関唐戸魚市場仲卸協同組合)が登録された。
(写真)「三島馬鈴薯」の登録生産者団体のJA三島函南のみなさん。左から3人目が礒崎副大臣、柿島代表理事組合長、生産部会長の平野さん。
「能登志賀ころ柿」の登録生産者団体のJA志賀のみなさん。右から4人め新谷代表理事組合長、生産部会長の新明さん。
「十勝川西長いも」の登録生産者団体の十勝川西長いも運営協議会の有塚会長(JA帯広かわにし代表理事組合長)
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