2兆6525億円を概算要求-30年度農林水産予算2017年8月31日
農林水産省は平成30年度農林水産関係予算として総額2兆6525億円の概算要求を8月31日、財務省に提出した。要求限度額である前年比115%を要求した。
総額のうち、公共事業費は8222億円(対前年比120.3%)を要望し、このうち農業農村整備に3793億円を、非公共事業は1兆8303億円を要求した。
重点事項の農地中間管理機構による担い手への農地集積・集約化を加速するための予算には213億円(29年度予算額155億円)を要求した。
また、機構による農地の集積・集約が行われている地域で農業者の費用負担を求めずに事業を実施する農地耕作条件改善事業には407億円(同236億円)を要求した。この事業は区画整理、農地造成に対して12.5%等の交付を行うほか、高収益作物への転換に取り組む場合のプラン作成、技術習得方法なども支援する。
農業経営法人化等を促進するため、新規の農業経営者総合サポート事業のほか、集落営農の組織化・法人化を支援する農業経営法人化支援事業、農業法人投資育成事業などで合わせて63億円を要求した。サポート事業では都道府県の農業会議や農協中央会、法人協会などと中間管理機構などが農業経営相談所(仮称)を開設し、経営承継や規模拡大など多様な相談に対して税務、経営診断、技術などの専門家による支援チームがサポートする。
水田活用の直接支払い交付金は3304億円(同3150億円)を要求した。飼料用米と米粉用米の収量に応じ10a5.5万円~10.5万円などの戦略作物助成の交付単価は維持される。また、地域の裁量で活用可能な産地交付金では、▽転換作物が拡大し主食用米の作付け面積が減少した場合、その面積に10a1.0万円を配分する、▽内外のコメ新市場の開拓に10a2.0万円、▽畑地化に10a10.5万円も盛り込まれる方針だ。
収入保険制度の実施には新規に531億円を要求した。
畜産・酪農対策では、酪農経営体生産性向上緊急対策事業で60億円(同60億円)を要求した。酪農は毎日の搾乳作業や飼料給与などで、1人あたりの平均年間労働時間が2000時間を超えている。また、初妊牛価格の高騰で後継牛の自家育成に取り組む酪農家は増えると想定されるが、さらに労働負担を招くことになる。そのため労働負担軽減と省力化のため搾乳ロボットや自動給餌・餌寄せ装置、発情発見・分娩監視装置などの導入を支援する。
ポテトチップス向けなど加工用ばれいしょが不足していることに対応し、
▽種子用ばれいしょの生産力向上
▽加工用ばれいしょの単収向上・作付拡大
▽増産のための輪作条件の整備(てん菜の省力化機械導入、輪作年限延長のための豆類・休閑緑肥の導入)
など、3つの取り組みを並行して強力に推進する。
GAP拡大の推進のため新規予算として9億円を要求した。GAPの取り組みや認証拡大推進のための人材育成や、審査費用などを支援する交付金や、国際規格化のために取り組みを支援する。
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