米で万全の所得確保を 水田農業政策でJAグループが提案2017年11月13日
JAグループは11月9日のJA全中理事会で「30年産以降の水田農業政策にかかる重点政策提案」を決めた。30年産以降も、関係者が一体となって需要に応じた生産に取り組み、需給と価格の安定を実現する必要があるが、そのための万全な支援策を求めている。
重点政策のひとつが米の直接支払交付金(10aあたり7500円)の廃止にともなう与党合意をふまえた水田農業対策の充実、強化。
生産調整政策の見直しを決めた平成25年11月には、30年産から廃止される10a7500円について「30年度からはその財源を多様な担い手の経営対策のさらなる拡充等に振り向けることとする」と与党で合意されている。
29年度当初予算ではその財源は713億円となっており、JAグループは「財源を活用し水田農業政策を充実・強化すること」を求めている。
また飼料用米や麦・大豆など戦略作物に対する助成金である「水田活用の直接支払交付金」については、食料自給率の向上と生産者の経営安定に重要な役割を果たしているとして、助成体系や交付単価を維持し「恒久的な措置とすること」を求めている。
同時に戦略作物助成金と合わせ、地域実態をふまえて転作を支援する産地交付金についても、対象とする転換作物の拡大や、米の輸出も含めて市場開拓、さらに畑地化などの取り組みも支援する予算として拡充を求めた。また、29年産では主食用米の生産数量目標よりさらに多く転換作物を作付けした場合に向けて、産地交付金の2割を留保しておく仕組みとしたが、十分な助成額が得られなかったなどの声が現場から上がっており、その運用改善を図ることも求めている。
もうひとつの重点政策が「需要に応じた生産の実現に向けた全国組織の設置」。需要に応じた生産と水田フル活用を推進するため、地域再生協議会と都道府県再生協議会だけでなく、全国段階で生産者、流通業者、実需者などが集まる全国組織が必要だとしている。とくに最近では家庭用のブランド米開発が盛んで外食・中食向けなど値ごろ感のある業務用米が不足している。
こうしたミスマッチの解消にためにも全国組織の設置が必要で国が立ち上げを支援するよう求めている。
そのほか、需要に応じた生産に取り組む生産者のために「収入減少影響緩和対策(ナラシ対策)」が安定的に実施されることや、生産調整の見直しの実施で「緊急かつ重要な課題が生じた場合」に、必要に応じて適切な対策を実施することを求めている。
(関連記事)
・【卸売市場法】「受託拒否」の堅持を-JAグループ(17.11.10)
・米消費拡大と健康増進で包括連携協定を締結 JAおおいがわ・東洋ライス(17.11.10)
・30年産の価格が分かる「コメ先物市場」(17.11.06)
・多収でいもち病に強い「ゆみあずさ」-業務用に最適な水稲新品種を育成 農研機構とJA全農(17.11.02)
・【JAふくしま未来】震災を乗り越え、農業を続ける想いを実現(後編)(17.10.27)
・【緊急調査・29年産米の作柄見込みと30年産米の課題】主要219JAのコメ担当者の声【北陸】(17.09.21)
重要な記事
最新の記事
-
米の作況指数の公表廃止 実態にあった収量把握へ 小泉農相表明2025年6月16日
-
【農協時論】米騒動の始末 "瑞穂の国"守る情報発信不可欠 今尾和實・協同組合懇話会委員(前代表)2025年6月16日
-
全農 備蓄米 出荷済み16万5000t 進度率56%2025年6月16日
-
「農村破壊の政治、転換を」 新潟で「百姓一揆」デモ 雨ついて農家ら220人2025年6月16日
-
つながる!消費者と生産者 7月21日、浜松で「令和の百姓一揆」 トラクターで行進2025年6月16日
-
【人事異動】農水省(6月16日付)2025年6月16日
-
3-R循環野菜、広島県産野菜のマルシェでプレゼント 第3回ひろしまの旬を楽しむ野菜市~ベジミル測定~ JA全農ひろしま2025年6月16日
-
秋田県産青果物をPRする令和7年度「あきたフレッシュ大使」3人が決定 JA全農あきた2025年6月16日
-
JA全農ひろしまと広島大学の共同研究 田植え直後のメタンガス排出量調査を実施2025年6月16日
-
生協ひろしま×JA全農ひろしま 協働の米づくり活動、三原市高坂町で田植え2025年6月16日
-
JA職員のフードドライブ活動で(一社)フードバンクあきたに寄贈 JA全農あきた2025年6月16日
-
【地域を診る】「平成の大合併」の傷跡深く 過疎化進み自治体弱体化 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年6月16日
-
いちじく「博多とよみつひめ」特別価格で予約受付中 JAタウン2025年6月16日
-
日本生協連とコープ共済連がともに初の女性トップ、新井新会長と笹川新理事長を選任2025年6月16日
-
【役員人事】日本コープ共済生活協同組合連合会 新理事長に笹川博子氏(6月13日付)2025年6月16日
-
【役員人事】2027年国際園芸博覧会協会 新会長に筒井義信氏(6月18日付)2025年6月16日
-
農業分野で世界初のJCMクレジット発行へ前進 ヤンマー2025年6月16日
-
(一社)日本植物防疫協会 第14回総会開く2025年6月16日
-
農業にインパクト投資を アンドパブリックと実証実験で提携 AGRIST2025年6月16日
-
鳥取・道の駅ほうじょう「2025大大大スイカフェスティバル」22日まで開催中2025年6月16日