JAの自己改革を評価 若手、担い手の意見反映を 規制改革WG2023年5月8日
政府の規制改革推進会議の地域産業活性化ワーキンググループ(WG)は4月28日に農協の自己改革の取り組み状況や、農協の内部監査などをテーマにJAグループからヒアリングを行った。JAの自己改革については、「取り組みを開始したことについて評価してよいのではないか」とし、今後の改革実践に若手や担い手の意見を汲み取ることを期待した。
会議では農水省、全中、農林中金のほか、JAいわて花巻、JA鈴鹿、JAなめがたしおさい、JA丹波ささやまから自己改革の取り組みをヒアリングした。
JAいわて花巻は、「銀河のしずく」の作付拡大とねぎ産地確立による園芸振興、生産資材購入への新たな奨励措置などに農家手取り向上策や、次世代農業者への助成制度などを実践している。
JA鈴鹿は組合員との対話やアンケートで得られたニーズに対して、独自の営農振興基金による白ネギや加工用野菜の作付け推進や獣害被害対策などに取り組み、それぞれ利用額や作付け面積など成果指標を設定するとともに、取り組み状況を組合員に発信している。
JAなめがたしおさいは「焼き芋」を軸に売り方の提案、甘藷の貯蔵施設による安定供給、食味を重視した出荷体系づくりと積極的なPRなどに総合的に取り組み、農家の経営安定と所得向上に取り組んでいる。
JA丹波ささやまは、同JAの非常勤理事で(株)アグリヘルシーファームの原智宏代表取締役が担い手農業者からみた自己改革を報告した。JAの組織・事業を良くするには組合員、経営層、職員の3者が歩み寄ることが必要なことや、組合員も自らJAを変えていくという意識をもつことも重要なことなどを指摘した。
委員からは改革を進めるにはリーダーシップを育てる人づくりや、改革についての外部評価が大事との指摘があったが、取り組みを着実に開始しており「大きな一歩を踏み出したことを評価していい」との評価や「経済事業の赤字を金融で補てんしているという構図を脱却していないJAもある。好事例を広く深く浸透させることが大事」との指摘もあった。
岩下直行座長(京大公共政策大学院教授)は「自己改革は農協ごとにばらつきが想定されるが、取り組みを開始したことを評価してよいのではないか。とくにJA自ら営業するなど販売力の向上に向けた経営力を身に着けていく方策や、若手や担い手の意見を汲み取ることが必要だ」と指摘し、農水省に対して優良事例の横展開を推進するための具体的な方策の検討を求めた。
農協改革と合わせて内部監査や人材育成についてもヒアリングと意見交換を実施。岩下座長は農水省に対して、農協のガバナンスの仕組みや通報窓口の設置など「職場環境を改善するための体制整備が職員に認知され適切に活用されるなど、実効性を向上させる取り組みを検討してほしい」と述べた。また、人材育成について、「人的資本の投資に向けた各JAトップのコミットメント」を求めるとともに、農水省に対して定量的、客観的な指標の検討を求めた。
規制改革推進会議事務局によると、今後は5月下旬から6月上旬に予定されている「答申」に盛り込む内容を農水省と調整するという。
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