水稲の斑点米カメムシ類 1道2府32県で注意報 病害虫発生予報第7号 農水省2025年9月11日
農林水産省は9月10日、令和7年度病害虫発生予報第7号を発表した。
主要な病害虫の発生予察情報(発生予報)として9月9日現在、水稲は斑点米カメムシ類(イネカメムシを含む)の発生について1道2府32県で注意報が発表。今後も全国の複数の地域で多くなると予想されている。また、大豆の吸実性カメムシ類の発生が、東北、北関東、北陸、東海、近畿及び北九州の一部の地域で多くなると予想される。
野菜・花きでは、オオタバコガ、シロイチモジヨトウ及びハスモンヨトウの発生が、全国的に多くなる予想。果樹では、なしのハダニ類の発生が、南東北、北関東、北陸及び中国の一部の地域で多くなると予想される。また、果樹カメムシ類の発生が、東北、北陸、東海、四国及び北九州の一部の地域で多くなる予想。この他、かんきつのハダニ類等、地域によっては多くなると予想される。
今後も継続して気温が高くなる見込みで、病害虫の発生量の増加や発生時期の長期化により、農作物への被害が増えるおそれがある。
各作物の詳細は以下の通り。
◎水稲
水稲で各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫及びその地域
<斑点米カメムシ類>
南東北、関東、甲信、北陸、東海、近畿、中国、四国及び九州の一部の地域で多くなる予想。今年は35道府県(延べ46件)から注意報が発表されている。
この虫は、多くの種がほ場周辺の雑草に生息し、出穂期になるとほ場に侵入し穂を加害。被害の程度は、出穂期、ほ場への本虫の侵入量、カメムシの発生種の構成等によって異なるため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、ほ場の観察を行い、適期に防除を実施する。
また、地域の作型や斑点米カメムシ類の発生状況により異なるが、地域の実情に応じた防除を徹底し、さらに発生が多い場合には追加の薬剤散布を実施する。
水田周辺の除草は同虫の発生量の抑制に効果的だが、出穂期直前の除草は、同虫の水田への侵入を助長し被害を増加させるおそれがあるため出穂期の10日前までに完了すること。また、地域一斉で除草すると効果的。
このほか、、斑点米カメムシ類に含まれるイネカメムシは、斑点米だけでなく不稔被害も引き起こし、令和6年度は37都府県で確認され、イネカメムシによる減収被害が生じた地域も報告されている。イネカメムシによる被害を防止するため、下記の取組を実施する。
・同虫による不稔を防止するには、他の主要な斑点米カメムシ類と異なり、出穂期に防除を行うことが重要。過去から発生量が多い、または発生量が増加傾向の地域では、不稔を防止するため、出穂期の防除を実施する。なお、高温によって出穂期が早まるおそれがあることから防除適期を逃さないよう注意を。
・同虫は、斑点米も生じさせることから、発生が多い場合は、斑点米の発生を防止するため出穂期
以降の2回目防除を実施する。
・一部では薬剤抵抗性個体が確認されていることから、同一系統の薬剤の連用は避け、ローテーション散布を実施する。
・同虫は、稲を好んで加害することから、防除が行われていないほ場(飼料用米ほ場等)、周囲より出穂が早い品種又は遅い品種のほ場は、集中加害を受ける場合がある。これらのほ場は発生に注意を。なお、イネカメムシの多くは、昼間は株元に潜んでいることから、早朝や夕方が見つけやすい。
<紋枯病>
九州の一部の地域で多くなる予想で、長崎県から注意報が発表されている。今後、断続的な降雨がある場合には同病が急激に発生するおそれがある。同病は高温多湿条件で発生が助長され、昨年多発したほ場では本年も多発するおそれがあるため注意が必要。上位葉が発病すると減収に繋がるため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、水田の観察を行い、上位葉に進展しないよう本病の発生状況に応じた防除を実施する。
◎豆類
豆類で各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫及びその地域
<吸実性カメムシ類>
東北、北関東、北陸、東海、近畿及び北九州の一部の地域で多くなる予想。滋賀県から注意報が発表されている。同虫の飛来状況は地域や園地により
異なるため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、園内の観察をきめ細かく行い、飛来が
認められた場合は、適期に防除を実施する。
◎野菜・花き
野菜・花きで各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫と地域
◎作物共通
<オオタバコガ、シロイチモジヨトウ、ハスモンヨトウ>
全国的に多くなるまたはやや多くなる予想で、多くの県が注意報を発表。ほ場を見回り発生状況に注意しつつ、都道府県が発表する発生予察情報等を参考に、適期に防除に実施する。また、結球野菜では、結球内部に食入した場合に防除が難しくなることから、結球前に防除を実施する。
なお、同虫は薬剤抵抗性が発達しやすいため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定する。
◎ねぎ
<アザミウマ類>
南東北、北関東、北陸、東海、近畿及び九州の一部の地域で多くなる予想。ほ場を見回り発生状況に注意しつつ、都道府県が発表する発生予察情報等を参考に、発生初期から防除を実施する。
なお、同虫は薬剤抵抗性が発達しやすいため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定する。
◎果樹・茶
果樹・茶で各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫及びその地域
◎なし
<ハダニ類>
南東北、北関東、北陸及び中国の一部の地域で多くなる予想で、鳥取県が注意報を発表。ほ場を見回り発生状況に注意しつつ、都道府県が発表する発生予察情報等を参考に、発生初期から防除を実施する。
なお、同虫は薬剤抵抗性が発達しやすいため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定する。
◎果樹共通
<果樹カメムシ類>
東北、北陸、東海、四国及び北九州の一部の地域で多くなる予想で、徳島県が注意報を発表。今後、当年世代(越冬世代以降の世代)を中心に、餌を求めて園地を移動するようになる。本年の越冬世代の発生が多かった地域では当年世代の発生量に注意が必要。
同虫の飛来状況は地域や園地により異なり、果樹カメムシ類の被害を防止するには、飛来初期の防除が重要。昨年は、ほ場の見回り頻度が少なかったため、飛来に気付くのが遅れ、被害が生じた事例が報告されている。
都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、園内の観察をきめ細かく行い、飛来が認められた場合は、飛来初期から防除を実施すること。
果樹カメムシ類は薄暮期から夜間を中心に活動するため、夕方の薬剤散布が効果的。
また、春の発生量が少ない地域においても、スギ・ヒノキの球果が豊富な場合、主要種であるチャバネアオカメムシ及びツヤアオカメムシが増え、秋の発生量が増加するおそれがあることから、警戒を緩めずに対策に取り組むことが重要。
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