農薬:防除学習帖
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (39) 【防除学習帖】第278回2024年12月14日
令和3年5月に公表され、農業界に衝撃を与えた「みどりの食料システム戦略」。防除学習帖では、そこに示された減化学農薬に関するKPIをただ単にクリアするのではなく、できるだけ作物の収量・品質を落とさない防除を実現した上でKPIをクリアできる方法を探っているが、そのことを実現するのに必要なツールなり技術を確立するには、やはりIPM防除の有効活用が重要だ。そこで、防除学習帖では、IPM防除資材・技術をどのように活用すれば防除効果を落とさずに化学農薬のリスク換算量を減らすことができるのか探っている。
みどり戦略対策に向けたIPM防除でも、必要な場面では化学的防除を使用し、化学的防除法以外の防除法を偏りなく組み合わせて防除効果の最大化を狙うのだが、農薬のリスク換算量を減らせる有効成分や使用方法を選択できるようにするためには、農薬の有効成分ごとにその作用点、特性、リスク係数、防除できる病害虫草等を整理すると、より効率良く防除できてリスク換算量を減らすことができる道が探れると考えている。そのため、有効成分の作用機構ごとに分類し、RACコードの順番に整理を試みている。
現在FRACコード表日本版(2023年8月)に基づいて整理し紹介しているが、整理の都合上、FRACコード表と項目の並びや内容の表記方法が若干異なることをご容赦願いたい。
8.フェニルウレア
(1)作用機構:[B]細胞骨格とモータータンパク質
(2)作用点: 細胞分裂阻害(作用点不明)
(3)グループ名: フェニルウレア[グループコード:20]
(4)殺菌剤の耐性リスク:低い
(5)耐性菌の発生状況:耐性菌未発生
(6)化学グループ名・有効成分名(農薬名):
[1]ペンシクロン(モンセレン,セレンターフ)
(7)グループの特性:
このグループは、糸状菌(担子菌類)であるリゾクトニア属菌に特異的な高い効果を示す。作物体に付着した有効成分が長期に渡って抗菌活性を示し、病原菌が薬剤に接触して効果を示す。浸透移行性は弱く、基本的に予防効果が主体の薬剤である。予防的に散布されたペンシクロンが菌核の発芽を阻害して病原菌の作物への侵入を阻止し、菌糸の生育や強く阻害することによって病斑の進展を抑制することができる。よって、病害の発生前か発生初期での使用が効果的である。本剤の作用点は細胞分裂の阻害にあるが、どこに作用するのかは不明である。
(8)リスク換算係数とリスク換算量削減の考え方:
ペンシクロンのリスク換算係数は0.316であり、基準年の2019年の出荷量は約25トンである。
主な使用対象であるイネ紋枯病の発生面積が減少しているのに加え、処理方法が水和剤や粉剤の散布に限られることから使用量は漸減している。このため、本剤のリスク換算量削減を意識する必要はないと考えられ、リゾクトニア病害が問題となる場合の特効薬的な位置づけにする方が良いと考えらえる。
![gakushu278 IPM防除実践考[39]_2024-12-13up-2.jpg](https://www.jacom.or.jp/nouyaku/images/3ce69489b062e3ce0015cf591afd99ad_1.jpg)
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