6月の食品値上げ 1932品目で前年3倍「コメ高騰」での値上げ拡大 帝国データバンク2025年6月2日
帝国データバンクは、6月以降における食品の値上げ動向と展望・見通しについて、分析を行った。6月の飲食料品値上げは1932品目。食品分野別では、カレールウなど香辛料のほか、だし製品などを中心とした「調味料」(962品目)が最多となった。2025年通年の累計品目数は1万6224品目となり、年間で2万品目を超える可能性が高まった。飲食料品の値上げの勢いは、前年に比べて強い状態が続いている。
平均値上げ率
同調査によると、主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした6月の飲食料品値上げは1932品目、値上げ1回あたりの平均値上げ率は月平均14%となった。前年6月(623品目)から1309品目・+210.1%と約3倍に急増し、単月の値上げ品目数としては2カ月ぶりに1千品目を突破した。また、1月以降6か月連続で前年同月を上回り、連続増加期間としては記録的な値上げラッシュの1年となった2023年6月以来、2年ぶりの長さとなった。
6月の値上げを食品分野別に集計すると、カレールウなど香辛料のほか、だし製品などを中心とした「調味料」(962品目)が最多。「加工食品」(755品目)では、即席めんのほか、不作により供給量が大幅に減少している海苔製品、コメ高騰を背景としたパックごはんの値上げが目立った。「乳製品」(106品目)は、乳価改定の影響を受けて加工乳やヨーグルトなど発酵乳、クリームなどの製品が中心だった。
2025年通年の値上げは、10月までの公表分で累計1万6224品目にのぼり、前年通年の実績(1万2520品目)を約3割上回った。1回当たり平均値上げ率は15%と、前年(17%)をやや下回る水準が続いた。食品分野別では、カレールウなどの香辛料製品やだし製品を中心とした「調味料」(5446品目)が最も多く、冷凍食品やパックごはん、海苔などの「加工食品」(3813品目)が続いた。
食品分野別の値上げ品目数
また、「酒類・飲料」(3485品目)は、清涼飲料水に加え、原料米の価格上昇で清酒製品が約2年ぶりに値上げとなり、2023年以来2年ぶりに3000品目を超えた。2025年における飲食料品値上げの勢いは前年に比べて強い状態が続いている。
値上げ要因の推移(品目数ベース)
値上げ要因では、原材料の価格高騰に加え、光熱費の上昇による生産コストの上昇、人手不足による労務費の上昇、物流費の上昇などが複合的に重なった。原材料などモノ由来(「原材料高」)の値上げが全体の98.0%を占め、前月調査時(97.9%)から拡大。人手不足に伴う昇給・賃上げによるコスト増を背景とした「人件費」(53.6%)は、要因別の集計を始めた2023年以降で最高だった。また、特に6月以降の値上げを中心に電気・ガスなど「エネルギーコスト(光熱費)」由来の値上げで上昇が続き、年間で66.7%を占めた。
今後の見通し:年間で2年ぶりに2万品目超えの可能性高まる
足元では食品や日用品を中心に買い控えが強まるなど消費者の値上げ疲れが鮮明となり、さらなる値上げは消費者の節約志向を強めるリスク要因となっている。ただ、2025年は原材料高に加えて物流費やエネルギーコストの上昇、賃上げによる労務コストの増加を背景とした粘着性の高い物価上昇圧力が継続し、飲食料品の値上げ機運に強い影響を及ぼしている。
また、近時はコメ品薄の影響による食品の値上げが目立ち、原料米の価格高騰に由来する値上げは、6月実施分のうち概算で100品目を超え、約6%を占めた。コメ以外にも、世界的な天候不順による供給量の不安定化や、円安による輸入コストの上振れといった要因もあり、原材料高による値上がりは当分継続する可能性が高いとみられる。
さらに電気・ガスなどエネルギーコスト増による値上げで再燃の兆しもみられるなど、値上げ要因は多様化・複合化が一層進んでおり、飲食料品メーカーでは内容量の減量による実質値上げを含め、当面は難しい価格設定の判断を迫られる状況が続くとみられる。
2025年の値上げは、年間累計では2023年以来、2年ぶりに年間2万品目を超える可能性が高い。また、今後の動向次第では飲食料品の値上げラッシュが本格化した2022年(2万5768品目)に並ぶ水準に到達する可能性がある。
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