アローファーム大分で初収穫 矢崎グループ2015年1月21日
農業と地域の未来を見据えて
矢崎グループでは、製品のQCD(クオリティ・コスト・デリバリー)向上のために、グローバルで最適な生産体制の構築を追求しているが、それに伴い国内生産が減少した。各地の製造拠点では、その生産減少を補うため多様な取り組みを行っている。矢崎グループ初の農業法人アローファーム大分(株)(以下、AROI)もその一つだ。
◆地域の問題 農業で解決
平成21年、矢崎グループの大分部品(株)では、雇用の維持をはじめ、地域が抱える問題の解決につながる事業として農業に取り組み始めた。当初は、きくらげ、ベビーリーフなどの試験栽培からスタート。23年には、大分部品アグリ課を立ち上げアグリ事業を本格的に開始した。
そしてより効率的なアグリ事業を推進するため、26年1月、廃校となった小学校の校舎を借り受けて、従業員7人でAROIをスタートさせた。
(写真)
AROIが事務所を構える旧校舎
◆耕作放棄地11haを活用
AROIがある大分県佐伯市では、耕作放棄地が12年からの5年間で2.5倍以上に急増したという。
AROIでは、その耕作放棄地11haを借り受けて農業に取り組んでいる。主な生産作物は、主食用の水稲「ヒノヒカリ」をはじめ、稲発酵粗飼料WCS、サツマイモの「黄金千貫」「紅イモ」などだ。
良食味米の水稲「ヒノヒカリ」は、26年に苗づくりから始め、2.7haに作付けして秋に5.7tを初収穫した。美味しいコメだと評判になった。WCSは酪農家からの受託で取り組んだ。稲発酵粗飼料を牛の餌として使い、そこから出た堆肥を水田に還元する循環型の農業を実践している。 黄金千貫は、人気の芋焼酎の原料となる。加工用だけにカタチなどの制約がなく、歩留まりが高い。地元の酒造メーカーに卸している。紅イモは、一定の温度・湿度で40日間貯蔵すると熟成して糖度が高くなる。「甘太くん」の名称で人気のブランドサツマイモだ。付加価値の高い作物づくりもAROIの事業の特長だ。
「耕作放棄地の増加を抑え、田畑を守ることが地元への恩返しになる。数年後には事業を軌道に乗せたい」とAROIの名越寿久氏(当時社長)は語る。企業が取り組む農業法人の一つの指標でもあるだろう。
(写真)
上:業務の見える化を進めると名越氏
下:サツマイモの収穫のようす
(関連記事)
・矢崎のグループ会社で「ベビーリーフ」を栽培(2014.02.19)
・矢崎グループが農業にチャレンジ(2013.05.09)
・LPガス仕様の「パラソルヒーター」が話題に(2013.04.25)
・注目のLPガス「災害対応バルク貯槽・供給ユニット」で非常時を乗り切る 矢崎総業(2012.05.15)
・園芸ハウス用温風機「AH―AP10」を発売 矢崎総業(2010.11.30)
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日