農業用ドローン本格普及へ 計画策定し協議会設立 農水省2019年3月20日
農業用ドローンの普及を進めている農水省は3月18日、普及計画を発表し、官民協議会を設立した。計画によると土地利用型農業の半分以上に普及させ、うち農薬散布面積は100万ha以上としている。協議会は、関係企業や省庁、地方自治体などに参加を呼びかけ、普及のための情報の受発信を行う。
農業用ドローンは、農薬散布や作物の生育状況のセンシングなどの幅広い分野ですでに使われており、ほ場や園地管理の効率化や農薬のピンポイント散布による生産性向上、コスト削減など、農業の成長産業化の起爆剤として期待されている。このため必要な取り組みを進めるため普及計画を策定した。
農業分野で活用が期待されるのは、生育状況分析、農薬・肥料散布、鳥獣害対策などの分野で、普及目標は、2022年までに水田を中心とした土地利用型農業の作付面積の半分以上としている。そのうち現在、最も普及している農薬散布では2022年までに100万haに拡大する。そのためには露地野菜や果樹等へのドローン用農薬の登録拡大が急務とする。
また技術的な課題も残されており、肥料散布では、ドローン散布に適した資材の開発、は種では均一散布、受粉ではダウンウオッシュの強化や散布ノズルの技術開発が課題。新しい分野として普及が期待されるセンシングでは解析精度の向上、対象品目の拡大などで、費用対効果を明らかにする必要があるとしている。鳥獣害も同様で、害獣の生息範囲や生息数、行動を把握する技術の開発が求められる。
官民協議会は、こうした課題を検討するための組織で、官民が連携し、関係者のニーズをくみとりながら農業用ドローンの普及に向けた取り組みを進める。インターネット上にウエブ官民協議会を設け活動円滑化をはかる。事務局を農林水産省生産局に置き、農業者、民間事業者、関係団体、研究機関、地方公共団体、関係省庁に会員として参加を呼びかける。
協議会設立にあたって吉川貴盛農水大臣は「ドローンによるスマート農業は中山間地域でも活用の機運があり、若い農業者に夢と希望を与えるものである。その技術は実証から実装の段階にある。関係機関の連携のもと普及発展に努めて欲しい」と期待を述べた。
なお、事例紹介として、(株)オプティム代表取締役の菅谷俊二氏、JA広島中央営農指導課長の溝西優氏、新潟市農林水産部のニューフードバレー特区課長の齋藤和弘氏が、それぞれドローン活用の取り組みを報告した。
(関連記事)
・新型ドローン量産へ向け増資 (株)ナイルワークス(19.03.19)
・日本製農薬散布ドローン発売 (株)FLIGHTS(19.03.06)
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