経常利益1710億円 安定収益確保-農林中央金庫2018年5月24日
農林中央金庫は5月23日、平成29年度(30年3月末)決算を発表した。米国の金利引き上げで外貨調達コストが増加し3期連続で減益となったものの、経常利益は中期経営計画で目標とした1500億円を上回る1710億円を確保した。
経常収益は1兆4499億円で前期比845億円増。一方、経常費用は1兆2789億円で同1625億円増となった。このうち農林中金のおもな資金運用法である外国債券購入のための外貨調達コストが米国の金利引き上げでかさみ、前期より1625億円増えて1兆213億円となった。
この結果、経常利益は前期比▲430億円の1710億円となった。
減益となったものの、中期経営計画(平成28年から30年度)では通期の経常利益目標を1500億円程度としていることから「目標は達成した」(河野理事長)としている。
総資産は104兆9277億円で前期比▲2兆1349億円となった。このうち貸出金は同▲1993億円の11兆8589億円。政府向け貸出金が減った。現金預け金は貸出金減にともなって同5兆8172億円増の28兆7563億円となった。有価証券は同▲9兆7572億円の52兆3218億円となった。含み益のある債権と株式を売却したことに加え、3月末に円高となったことも影響した。
総資産は同▲2627億円の6兆7460億円となった。有価証券の評価損益が同▲5973億円の1兆5847億円となったことなどが影響した。
貸出金のうちリスク管理債権は0.3%まで低下しており「適切なリスク管理のもとで貸し出しをしている」と大竹和彦代表理事専務は説明した。
自己資本比率は普通出資等Tier1比率が同▲0.29%の19.02%、Tier1比率が同▲0.32%の19.02%で総自己資本比率は同▲0.89%の23.50%となった。前期より低下したものの引き続き高水準を維持している。
河野理事長は「今年度も厳しい環境が続くが慎重な財務運営に努めていく」と話した。
(写真)決算発表する河野理事長
◆系統金融 柔軟で強靭
会見では今期のおもな事業実績なども説明した。
そのなかで農業関連融資は残高が28年3月末で2兆3421億円だったのが29年3月末では2兆3661億円と増加に転じたことも明らかした。農業融資の新規実行額は27年度が6509社に対して3450億円だったが、28年度は7246社3886億円と増加した。30年度は3800億円を目標にしているという。
河野理事長は「農業融資がプラスになったのは画期的」と話し、約8万人の担い手をJAの担当者が年1回訪問してきたことなどが実績につながったと評価した。
また、系統信用事業が、基本的に単協、信連、農林中金と3層構造になっていることについて、すでに12県では信連が農林中央金庫と統合していることなどを挙げ「フレキシブルで他の金融機関にはない重厚な組織」と強調した。一部の地銀などは県域での経営は厳しさを増すといわれているが、「系統は統合することによって全体が生きていける。運用もそれぞれではなく農林中金に集中して運用するという特徴ある強靭なシステムだと思っている」と話した。
6月の総代会で奥新理事長にバトンタッチする河野理事長はこの日が最後の会見。
プロパー職員として初めて理事長に就任。長く農水次官のポストだったため「私の世代までの職員でトップになろうと思った人はいないと思う。トップを作る仕組みもできていなかった」と話し、在任中は「私なりに中金のなかに(トップ人材になるための)仕組みを作り上げた。何人も候補者が出てきてほしい」と期待した。
また、仕事への姿勢として中金職員には一体的事業運営が大事だと話した。「農林中金だけが(仕事をしている)、ということがなくなり、全員がJA、JFの窓口を補完して仕事をしているという風土を植えつけてもらえればありがたい」と述べた。
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