JAの活動:新世紀JA研究会 課題別セミナー
【覚醒】「自主判断」の陥穽 自民のリップサービス2018年11月5日
准組合員の事業利用規制問題について、2018年6月7日のJAグループ政策確立大会で、自民党の二階俊博幹事長が「准組合員の事業利用規制やJAが行う信用事業の代理店化について、押し付けるつもりはない。組合員が判断すればよい。しっかりと党として約束をしておく」と述べた。
この発言以降、JA内には一種の安堵感だけでなく、この問題はもはや終わったかのような雰囲気さえ漂っている。二階幹事長の発言は、2019年夏に予定されている参議院選挙に向けた自民党圧勝への期待を込めたリップサービスであることは疑いがなく、このような政治力をたよった対応はJAの将来を大きく誤ることになる。
というのは、一方で安倍首相は2018年7月19日の日本農業新聞との単独インタビューで、この問題は、「しかるべき時期が来たら法律の条文に即して適切に対応を判断する」と述べている。
また、「新世紀JA研究会」が2018年の6月5日に行った要請活動のなかで、安倍首相側近の自民党の森山裕国会対策委員長は、准組合員問題について、「とくに都市化地帯のJAでは対策をよく考えておくように」とわざわざ発言しており、これも時期が来たらこの問題に必ず手を付けるという申し渡しと考えて差し支えないだろう。
二階幹事長の発言は、明らかに選挙対策用のもので、これにごまかされてはいけない。第一、准組合員の事業利用制限は組合員の自主判断に任せるとはどういうことか意味不明であり、自主判断ならなぜこの問題を持ち出したのか理解不能である。
安倍政権の目玉である働き方改革での、事実上の残業規制を撤廃する「高度プロフェッショナル制度」の導入についても、それは企業の自主判断であると説明された。政府にとって「自主判断」は、新たな制度導入にあたって関係者に安心感を与える常套句なのである。
このような、JA関係者に安心感を与える発言で、全中などのJA指導者は安心を装い、結果を自民党議員の責任に転嫁することになれば、JA運動そして協同組合運動そのものが死滅していくことになる。
今回のトランプ米大統領との物品貿易協定について反対運動が起きない背景にも自民党とJA、とくに全中との間にこうした相互もたれあいの事情があるのではないかと思うのは筆者だけではあるまい。
JA選出の国会議員を含めて、当選第一を旨とする自民党議員が結果について責任をとることはない。それは、TPP国会での批准投票や中央会制度廃止の農協法改正案に賛成した議員の態度を見ても明らかだ。
協同組合第4原則で謳われる、協同組合の「自主・自立」は、単なるお題目やきれいごとではない。過去における日々の戦いと苦い経験の中から協同組合が必死になってつくり上げてきたものだ。
「自主・自立」の協同組合運動を進めるには、直面する課題ごとに自ら解決案を考えつつ、政党頼みという誘惑に負けない戦いを展開することが不可欠である。とくに今回の准組合員対策については、真に相手となるのは国民世論であり、既得権益を求めて自民党だけを頼りにする戦いでは必ず負ける。
そもそも准組合員問題は、JAの准組合員が総体として正組合員数を上回っていることを背景としており、JAの組織的性格を問われている問題である。
2021年3月までの検討期間を経て、政府からどのような案が出されるのか予断を許さないが、問題をこのように認識すれば、その結果にかかわらず、JAにとっての喫緊の課題は、政党対策はさておき、まずは自らの准組合員対策を確立していくことである。この問題を仕掛けた農水省自体も、大澤誠経営局長発言(2018年2月20日号 農業協同組合新聞)に見られるように、JAからの提案を求めている。
准組合員問題は、JAの死命を制するとして政治力に頼るとしても、既存の利益擁護だけでJAに改革案がなければ話にならない。全中はじめJA役員に、もし自民党任せの気持ちと、決着は2021年3月で、任期中にこの問題は表面化しないとして手を打たない意識があるとすれば、結果は悲劇的なものになる。
この問題は、政府与党から案を出された時点で決着する。准組合員問題について、JAは自らの対策を早急に構築し、国民的理解を得る大運動を展開すべきである。残された時間は少ない。
※このページは新世紀JA研究会の責任で編集しています。
新世紀JA研究会のこれまでの活動をテーマごとにまとめています。ぜひご覧下さい。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(185)食料・農業・農村基本計画(27)麦に関するKPIと施策2026年3月21日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(102)ニコチン性アセチルコリン受容体競合的モジュレーター(4)【防除学習帖】第341回2026年3月21日 -
農薬の正しい使い方(75)細胞壁(セルロース)合成阻害剤【今さら聞けない営農情報】第341回2026年3月21日 -
FAO 国連食糧農業機構【イタリア通信】2026年3月21日 -
【浜矩子が斬る! 日本経済】平和と経済の関係 人権侵す戦争とは乖離2026年3月19日 -
3カ年計画の着実な実践へ 5つの重点取組事項 2026年度JA共済事業計画2026年3月19日 -
配合飼料供給価格 トン当たり約1250円値上げ 2026年4~6月期 JA全農2026年3月19日 -
「有機」「オーガニック」 内容知らない消費者6割強2026年3月19日 -
【世界を診る・元外交官 東郷和彦氏】米国大統領の"変貌" 日本外交も節目2026年3月19日 -
「備蓄米の機動的買い戻しを」 米価下落懸念し特別決議 米どころ山形のJA県中央会2026年3月19日 -
飲用に使われた桜とニセアカシアの花【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第381回2026年3月19日 -
加工食品におけるカーボンフットプリント(CFP)算定ガイドを改定 農水省2026年3月19日 -
「花がなくてもかまわない消費者」にどう向き合うか【花づくりの現場から 宇田明】第81回2026年3月19日 -
今年は5月10日「母の日プレゼントキャンペーン」開催 JAタウン2026年3月19日 -
TOKYO FMホリデースペシャル「春のうまいもの祭」JA全農提供の3番組がコラボ2026年3月19日 -
【役員人事】JA三井リース(4月1日付)2026年3月19日 -
【Jミルク26年度計画】脱粉削減拡充も 生乳需給安定へ検討2026年3月19日 -
第67回全国家の光大会レポート 記事活用、教育文化活動が力2026年3月19日 -
水稲など13品目に対応「土壌診断AI」開発 土壌管理の高度化と生産性向上に期待 農研機構2026年3月19日 -
北信地域の農業を支える新拠点「農機具王 長野中野店」4月1日オープン2026年3月19日


































