農業WG 農業改革の基本的視点示す2014年4月16日
規制改革会議の農業WGは4月8日に第14回会合を開き、金丸恭文座長(フューチャーアーキテクト会長兼社長)が農業改革の基本的視点を示した。今後、基本的視点をもとに議論を進める。
◆JAの担い手支援を説明
農業WG(ワーキング・グループ)は昨年秋から生産者、JA、JAグループ中央機関などからヒアリングを行ってきた。8日はJAグループが決めた営農・経済刷新プランについて全中・全農からヒアリングを行った。
その後、金丸座長が農業改革の基本的視点を会合で示した。基本的視点では「魅力ある農業、農業の成長産業化に資する農業改革は待ったなしの課題」、「制度・政策・組織が農業者の創意工夫を制約しない」などの考えが盛り込まれている。農業WGとしてこれを了承した。
また、JAグループ営農・経済刷新プランについては全中の冨士専務らが出席して説明した。
委員からはJAによる担い手支援をめぐって「JA出資型法人と担い手との共存は可能か」、「兼業、小規模農家に対する施策は」などの質問が出た。これに対してはJA出資型法人は基本的に担い手が不在の地域で設立する方針であることや、小規模農家は集落営農に参加してもらうかたちで役割を発揮してもらう取り組みなどをJAグループから説明した。
◆連合会方式を堅持
また、JAの自由度に貢献するため組織3段階制でいいのかとの質問や、革新プランで示した企業の准組合員化への疑問、准組合員への議決権付与なども委員は指摘した。 このうち、組織のあり方については、企業との連携によるバリューチェーンの構築によって農業所得を向上されるためには全国連が必要なことを説明したほか、JA段階での企業の准組合員化は、地元企業との連携による地域活性化をめざすものなどとその目的を説明した。
准組合員の議決権については現段階では検討しておらず、理事としての登用を進める方針であることを説明した。そのほか全農に対して株式会社を検討していないのかと質問もあったが、JAグループは協同組合の特性をふまえ連合会方式を維持する考えを示した。
委員からは「危機感、迫力が感じられなかった。企業との連携といっても相手も甘くない」、「丸ごと変わらなければならない」などの指摘もあったが、今後の検討に向けては「JAは公的な性格もある。そこを整理して考える必要がある」などとの意見もあった。
【農業改革の基本的視点】
(1)わが国農業をめぐる環境は極めて深刻。魅力ある農業・農業の成長産業化に資する農業改革は待ったなし。
(2)現状より未来に、今日より明日に目を向ける。
(3)農業全体の生産性を維持・向上させるため農地を農地として活用できない状態で将来に渡さない。
(4)土壌から食卓まで、現場から世界までのサプライチェーンに存在する付加価値を最大限現場に取り込みつつ、コストを見える化し農業者の所得向上につなげる。
(5)多様な主体の新規参入を取り込み、大先輩と若者、地域と域外参入者や農外企業といった多様なコラボレーションを実現させ経営革新と技術革新をめざす。
(6)全国一律ではなくワン・トゥー・ワン、ブランド化、各農業者の特性を活かす―付加価値モデル、ローコスト追求モデル等多様な経営手法の許容。
(7)制度・政策・組織が農業者の創意工夫を制約しない―標準化された簡素な手続き、中立なレフェリー
(8)組織の中核メンバーの多様化(女性参画を含む)及び役割・組織の最適化並びに各事業の活性化・健全化を図る。
(9)環境保全や安全保障のための施策は農業の成長性・生産性の向上をめざした施策とは峻別して議論する。
(関連記事)
・【コラム・ひとこと】農協改革にひとこと(2014.04.15)
・「中央会、連合会改革は論点の1つ」林農相(2014.04.11)
・協同組合は弱者切捨ての競争を否定する(2014.03.24)
・自民党が農協の役割を議論(2014.03.18)
・「フェアな競争関係」が農協を強くする(2014.03.17)
重要な記事
最新の記事
-
スーパーの米価 前週から10円上がり5kg4331円に 2週ぶりに価格上昇2025年12月19日 -
ナガエツルノゲイトウ防除、ドローンで鳥獣害対策 2025年農業技術10大ニュース(トピック1~5) 農水省2025年12月19日 -
ぶどう新品種「サニーハート」、海水から肥料原料を確保 2025年農業技術10大ニュース(トピック6~10) 農水省2025年12月19日 -
埼玉県幸手市とJA埼玉みずほ、JA全農が地域農業振興で協定締結2025年12月19日 -
国内最大級の園芸施設を設置 埼玉・幸手市で新規就農研修 全農2025年12月19日 -
【浜矩子が斬る! 日本経済】「経済関係に戦略性を持ち込むことなかれ」2025年12月19日 -
【農協時論】感性豊かに―知識プラス知恵 農的生活復権を 大日本報徳社社長 鷲山恭彦氏2025年12月19日 -
(466)なぜ多くのローカル・フードはローカリティ止まりなのか?【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月19日 -
福岡県産ブランドキウイフルーツ「博多甘熟娘」フェア 19日から開催 JA全農2025年12月19日 -
α世代の半数以上が農業を体験 農業は「社会の役に立つ」 JA共済連が調査結果公表2025年12月19日 -
「農・食の魅力を伝える」JAインスタコンテスト グランプリは、JAなごやとJA帯広大正2025年12月19日 -
農薬出荷数量は0.6%増、農薬出荷金額は5.5%増 2025年農薬年度出荷実績 クロップライフジャパン2025年12月19日 -
国内最多収品種「北陸193号」の収量性をさらに高めた次世代イネ系統を開発 国際農研2025年12月19日 -
酪農副産物の新たな可能性を探る「蒜山地域酪農拠点再構築コンソーシアム」設立2025年12月19日 -
有機農業セミナー第3弾「いま注目の菌根菌とその仲間たち」開催 農文協2025年12月19日 -
東京の多彩な食の魅力発信 東京都公式サイト「GO TOKYO Gourmet」公開2025年12月19日 -
岩手県滝沢市に「マルチハイブリッドシステム」世界で初めて導入 やまびこ2025年12月19日 -
「農林水産業みらいプロジェクト」2025年度助成 対象7事業を決定2025年12月19日 -
福岡市立城香中学校と恒例の「餅つき大会」開催 グリーンコープ生協ふくおか2025年12月19日 -
被災地「輪島市・珠洲市」の子どもたちへクリスマスプレゼント グリーンコープ2025年12月19日


































