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農政:どう思う!菅政権

「土の匂い」のする政治を取り戻せ 亀井静香【どう思う? 菅政権】2020年10月29日

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菅内閣が発足して1か月半が経過した。世界的にいつ終息するのか不明な新型コロナウイルス感染、地球温暖化による気候変動による自然災害の巨大化、そして新自由主義の行き詰まりと貧困・格差の拡大、米中覇権争いなど国際秩序の根底からの揺らぎ等々、私たちの世界はかつてない危機「大転換期」に入っているといえる。そうした中で、いま菅内閣がなすべきことは何か? 亀井静香元衆議院議員に聞いた。

亀井静香元衆議院議員亀井静香 元衆議院議員

菅総理の使命は「安倍路線からの脱却」だ

――安倍総理が突如として辞任を表明、誰もが予想しなかった菅総理が誕生しました。

亀井 菅総理は秋田から出稼ぎで上京してきた苦労人だと言われているけど、私も彼は「土の匂い」のする政治家だと思う。菅は神が日本に寄こした総理だ。菅は晋三と対極にいる政治家であり、そこに彼の天命がある。

――どういうことですか。

亀井 そもそも安倍政権は長く続きすぎて国民に飽きられていた。この状況では誰が「ポスト安倍」になっても新政権の支持率は高かったはずです。しかし、菅にはそれだけではない要素がある。

もともと晋三総理は長州閥の系統を継ぐ世襲議員で、官邸官僚と呼ばれるエリート連中に囲まれて、いわば貴族政治をやっていたわけです。しかしそれがあまりに長く続いたものだから、国民は飽き飽きしていた。その状況で旧賊軍の東北から百姓のセガレである菅が出てくれば、国民が拍手喝采を送るのは当然のことでしょう。菅政権の支持率が高くなるのは自然の理です。

旧賊軍の東北出身であり、百姓のセガレであり、土の匂いのする苦労人である菅は、晋三とは対極にいる政治家です。だからこそ彼は「貴族政治」とは対極の政治、いわば「土着の政治」をやらなければならない。そのために神は菅を総理として寄こしたのです。ここに菅の天命があり、国民の期待がある。歴史は変革を求めているんだ。

菅は「安倍路線の継承」を掲げて自民党総裁選で大勝を収めたが、菅のやるべきことは「安倍路線からの脱却」だ。これほど分かり切ったことはない。本人がそのことを自覚して自分の「地」を活かせば、素晴らしい総理大臣になる可能性がある。しかし「安倍路線の継承」に向かい、天命と国民の期待を裏切るならば、短命政権に終わるだろうな。それでは菅義偉という男が総理になった歴史的な意味がない。

「なにゆえ天は己を総理の座に就けたのか」ということを本人が自覚するかどうか、全てはそこに懸かっている。

「土着の政治」に回帰せよ!

――芥川龍之介は「レーニン」という詩の中で「君は僕等の東洋が生んだ草花の匂のする電気機関車だ」と書きましたが、土の匂いのする政治家が土着の政治を行う時代に突入したということですか。

亀井 マルクス=レーニン主義は唯物論の立場だけど、唯物論は百姓や労働者がメシを食うために労働する中から、つまり自分の身体を使ってモノと格闘する中から生まれたものでしょう。だから唯物論とは「土の匂い」「草花の匂い」のする思想なんですよ。

それに対して、観念論は貴族が優雅な遊びに興じたり、僧侶が高尚な宗教哲学を議論したり、要するに働かなくてもメシが食える人間が頭を使う中で生まれたものです。こういう観念論は貴族や僧侶には愉快な代物かもしれないが、百姓には何の益するところもない。

これまでの貴族政治がそうでしょう。最近では二世三世の世襲議員がエリート官僚に囲まれて政治をやってきたが、それは貴族の御曹司たちがお歯黒を塗った公家や抹香臭い茶坊主に囲まれながら政治遊戯に興じていたようなものです。最近流行りの新自由主義、金融資本主義なんて観念論そのものだ。アベノミクスで株価が上がったなんて喜んでいたが、貴族のカルタ遊びと何も変わらない。

その結果、日本はどうなったか。格差が広がって百姓が塗炭の苦しみを強いられたのです。アベノミクスで大企業が数百兆円もの内部留保をため込む一方、その足元では中小零細企業や農家が苦しんでいる。東京一極集中が進む一方、地方や農村が荒れ果てている。強いものばかりが良い思いをして、弱いものが泣いている。そういう見る影もない秋津洲になってしまった。

しかし、それで秋津洲が完全に沈没してしまったわけではない。ここから再び美しい豊葦原瑞穂国に作り直すことはできる。それをみんなでやらないといけない。古来、日本民族は鎮守の森を中心として酒を酌み交わしながら「田植えどうすべえ」「稲刈りどうすべえ」と話し合って物事を決めてきたのです。そういう土着の政治に回帰しなければならない。

そのためにこそ、東北の百姓の中から「土の匂い」「草花の匂い」のする総理大臣が出てきたはずではないか。菅以外にもそういう閣僚がいる。たとえば、総務大臣の武田良太や文部大臣の萩生田光一などです。彼らからは土の匂いがするね。どこか田舎のやんちゃ坊主のような雰囲気もあるでしょう(笑)

こういう地に足のついた政治家が置かれているから、菅内閣の布陣はなかなか良いと思う。彼らが土着の政治に回帰して中小零細企業や地方、農業に光を当てれば、秋津洲は復活できるはずです。

――しかし菅総理はアベノミクスを継承すると明言した上で、「中小企業の3割が淘汰される」と言われる中小企業基本法の改正に着手したり、就任直後に竹中平蔵氏と面会したりするなど、新自由主義路線を続ける構えです。

亀井 公家や茶坊主に囲まれた貴族政治を続けるなら、菅が総理になった意味がないね。百姓が貴族の真似をしてどうするのか。そんなことだったら早く総理を辞めてもらったほうがいい。

「アメリカのポチ化」を進めた7年8か月

――菅総理が安倍路線を継承するにせよ、日本が安倍路線から脱却しなければならないことは確実です。

亀井 最大の問題はアメリカから真に独立することです。安倍政権の時の日本はどういう姿だったか。ご主人様であるアメリカからエサをもらおうとヨダレを垂らしているポチにすぎなかったのだ。残念ながら、安倍政権の7年8か月はアメリカのポチ化、属国化がさらに進んだ時代になってしまった。

その良い証拠が、晋三が日米地位協定の改定に取り組まなかったことです。戦後75年が経ったいまでも、米軍は日本国内で好き勝手やっている。その根拠は何ですか。日米地位協定でしょう。

同じ敗戦国で地位協定を改定しない国は日本だけですよ。ドイツもイタリアも地位協定を改定して独立国家の主権を取り戻したが、日本だけがいまだに占領国の地位に甘んじている。それに違和感を持たないほど奴隷根性が染みついてしまったこの状況に目を瞑っておいて、何が日本国総理大臣だと言いたい。

――安倍前総理はアメリカに押しつけられた憲法の改正を掲げましたが、実現することはできませんでした。

亀井 当たり前の話です。アメリカのポチでありながら、どうして対米自立を果たす憲法改正ができますか。

晋三は憲法改正の規制を緩和する96条改正案や自衛隊の存在を明記する9条改正案を訴えていたが、これでは憲法改正をやったって何の意味もない。一番やらなきゃいけないのは、憲法前文と1条の改正です。

日本は敗戦後に占領されて天皇の存在が危ぶまれたが、マッカーサーもバカじゃないから、天皇は他の敗戦国の元首と同じようには手出しができない存在だと気づいた。だからこそ天皇の存在は守られた。

しかし、アメリカが作った憲法の前文には日本の中心である天皇の存在が一言も書かれていない。それでは1条に何と書かれているかといえば、「天皇の地位は国民の総意に基づく」などと、アメリカの大統領のような存在として書かれている。

冗談ではない。天皇の存在は国民の総意に基づいて作られたものですか。国民が先にいて後から天皇を作ったのではない、天照大神の時代から天皇と国民は同時に存在していたのです。それが日本の成り立ちでしょう。そういう国家の根本を根底から誤っている前文と1条を、晋三は変えようとしなかったんだよ。筋金入りの改憲論者と言われている晋三も、真の改憲論者ではなかったのだ。

――「安倍路線からの脱却」とは、安倍前総理が掲げた「戦後レジームからの脱却」すなわち対米自立に他なりません。

亀井 日本の政府がやらなければならないのは、真の独立を達成することです。独立するとはどういうことか。日本の国家意思を具体的行動で示すということです。

安倍政権の下で防衛費は過去最高の5兆円規模にまで膨れ上がったというが、実際にはアメリカ製のミサイル防衛を中心にカネを使っているにすぎない。これじゃ防衛予算をいくら増やそうが、独立なんかできっこないね。

日本が真に独立しようとすれば、思い切って自主防衛を強化する。日米地位協定も改定する、もっと言えば日米安保も破棄すればいい。別にアメリカから怒られるわけでもない。「もう日本を守ってくれなくてもいい」という話なんだから、それで怒るバカはいないでしょう。現にトランプもそういうことを言っているんだから渡りに船じゃないか。いまアメリカのポチをやめないで、いつやめるのか。

やろうと思えばできる。やらないだけだ。それをやる覚悟のない者に日本国総理大臣の資格はないのです。

(10月5日インタビュー、聞き手・構成 杉原悠人)

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