青森県のりんご生産者にアンケート調査 生産量減少は4割が実感、6割が将来に不安 日本農業2025年6月10日
青森県産りんごをアジア各国へ輸出および日本全国に販売する株式会社日本農業は、青森県内のりんご生産者を対象にりんご生産に関するアンケートをもとに調査・分析し、結果を公開した。同調査は4月18日~28日、青森県内の20代から60代以上のりんご生産者186人を対象にインターネットおよび訪問調査で行われた。
農林水産省の試算では、2030年には2020年と比べて果樹の耕作面積と農業者は半減すると予測され、青森県でもりんごの栽培面積は、2023年から2024年の1年間で400ha(2.1%)減少するなど減少傾向が続いている。
過去数年で生産量減少を実感した生産者は4割。年齢とともに増す生産量減少の実感
同調査でここ数年のりんごの生産量の変化について聞いたところ、「30%以上減った(9.1%)」「20%くらい減った(15.6%)」「10%くらい減った(15.6%)」と、40.3%の生産者が減少と回答。一方、「増えた」と答えた生産者は32.3%と、生産量が減った生産者が上回っていることが明らかになった。
年代別でみると、年代が上がるにつれて生産量の減少を実感しており、60歳以上の生産者の半数以上が減少と回答。高齢による作業負担や技術継承の難しさが伺える結果となった。
5年後の栽培面積は、3割が「増加予定」。60代以上は縮小・離農の傾向強まる
5年後の栽培面積に関する展望を聞いたところ、「栽培面積を増やすことを検討している(1~30%)」が29.0%、「大幅に面積を増やすことを検討している(30%以上)」は5.9%と、増加予定と回答した生産者は34.9%となった。一方で、28.5%が縮小や離農を検討しており、経営の二極化が進んでいる。
年代別でみると、増加予定と回答したなかで20~30代の若年層が8割を超え、若年層ほど拡大意向が強い結果に。一方で、60歳以上では縮小や離農を検討している割合が高いことが明らかになった。このことから、担い手の世代交代が今後のりんご産業の持続性や発展に大きな影響を与えると考えられる。
栽培面積縮小の理由、8割が「人手不足」。労働力確保の困難が大きな影響を与える
栽培面積の縮小を検討している生産者にその理由を尋ねたところ、「労働力の確保が困難のため」で全体の80.0%を占めた。高齢化や人口減少の影響により、特に農繁期における人手確の確保が難しくなっている実態が伺える。また、1割ほどの生産者は気候変動や将来の不確実性を理由に挙げており、安定した経営基盤の構築が今後の課題であることが示された。
生産者の9割以上が「コスト増」を実感。肥料・農薬費と人件費が経営を圧迫
ここ数年のりんごの生産コスト(肥料、農薬、人件費など)について尋ねたところ、95.7%の生産者が「コストが増加している」と回答。なかでも「特に肥料・農薬の負担増が一番大きい」とする回答が48.9%、「特に労働の負担増が一番大きい」が42.5%、「特に動力光熱費の負担増が一番大きい」が4.3%となった。肥料や農薬の価格上昇が近年の生産コスト増加の主因とされる一方、人件費の上昇や労働力確保の難しさも深刻な課題となっており、生産者は物価と人手の両面で大きな負担を抱えている実態が見受けられる。
6割を超えるりんご生産者が中長期的な不安。世代問わず共通する将来への懸念
5~10年後のりんご産業について聞いたところ、「非常に不安を感じる(生産が続けられない可能性が高い)」が17.7%、「やや不安を感じる(現在の状況が維持できるか不透明)」は44.1%となり、6割を超える生産者が中長期的な不安を感じていることがわかった。
年代別で見ると、30代など比較的若い年齢層の生産者も、60歳以上の高年代層と同じ割合で不安を抱いており、世代を超えた構造的な懸念が存在していることが伺える。
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