BSE対策見直し、2月1日実施 厚労省2013年2月1日
厚生労働省は米国産など輸入牛肉の月齢制限を現行の20か月以下から30か月以下に引き上げるなどの見直し措置を実施する。2月1日に国内措置見直しの省令改正を行った。また輸入条件の見直し通知も改正し同日に施行する。
◆全頭検査の国庫補助見直しも
国内措置はBSE検査対象月齢を20か月齢超から「30か月齢超」に引き上げる。特定危険部位(SRM)の除去の範囲も見直し、30か月齢以下の牛からは回腸遠位部と扁桃だけが対象になり、頭部(扁桃以外)、せき髄、せき柱は利用可能になる。
厚労省はこれらの国内措置に関する省令改正を2月1日に行ったが、新たに30か月齢以下の牛では頭部(扁桃以外)などが利用可能となり分別管理が必要となるなど、と畜場の体制整備が必要となるため省令の施行は4月1日とする。
現在は都道府県が全頭検査を実施しており21か月齢以上の牛の検査費用を国が補助しており、この補助は4月からの見直しでも継続する方針だ。
ただ、厚労省はさらに検査月齢を引き上げた場合のリスク評価を食品安全委員会に諮問しており、同委員会は現在審議中。厚労省は食品安全委員会の2次答申が出された際には、この国庫補助も見直すという。
◆説明会では不安や疑問の声
輸入措置の見直しは米国、カナダ、フランス、オランダの牛肉を対象に月齢制限を「20か月齢以下」から「30か月齢以下」に引き上げる。また、SRMの除去対象も回腸遠位部と扁桃のみとされる。頭部(扁桃以外)とせき髄、せき柱は輸入可能となる。
2月1日に輸入条件の見直し通知を改正し同日に施行される。
厚労省と食品安全委員会、消費者庁は、これらのBSE対策の見直しについて1月に東京と大阪で一般への説明会を開いた。説明会では、世界でBSEの発生数は減少しているものの、これまでに発生が確認されている非定型BSEの実態がまだ不明ではないかという懸念や、米国の飼料規制や「歯列」で年齢確認することへの疑問や不安の声が相次いだ。 これらの対して厚労省などは、非定型BSEは6歳以上の高齢牛でまれに発生すると確認されていることや、日本で確認された23か月齢の非定型BSE牛を対象にした実験では感染性が確認されていないことなどを説明した。また、米国の飼料規制については09年に牛だけではなくすべての動物種間で肉骨粉を規制していることなどを説明した。
「歯列」による月齢確認はヨーロッパでも採用されていた方法で「グローバルスタンダードになっている」という。この方法は永久歯の第2歯列が生えていることが確認されれば30か月齢以上と判定するもの。厚労省の説明では、30か月齢以上と判定された牛のなかには生育が早く30か月齢以下のものも含まれていることが確認されていることから、この方法を「科学的に否定できるものではない」とした。
見直し対策については1月28日の厚労省の食品衛生分科会・伝達性海綿状脳症対策部合同会議で審議され、同部会が了承した。ただ、情報公開と国民への説明がさらに必要だとの意見や米国等の輸出国への査察計画などを明らかにするよう要望も出た。
(写真は1月22日に開催された東京での説明会の様子)
(関連記事)
・1月に東京と大阪でBSE対策の見直しに関する説明会 (2012.12.21)
・ブラジルでBSE発生 (2012.12.10)
・混載事例17例め 米国産牛肉 (2012.12.03)
・BSE対策の見直しを了承 厚労省の審議会 委員、国民への十分な説明を求める (2012.11.07)
重要な記事
最新の記事
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(1)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(2)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(3)2025年9月18日
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(3)病気や環境幅広く クリニック西日本分室 小川哲郎さん2025年9月18日
-
【全中・経営ビジョンセミナー】伝統産業「熊野筆」と広島県信用組合に学ぶ 協同組織と地域金融機関の連携2025年9月18日
-
【石破首相退陣に思う】米増産は評価 国のテコ入れで農業守れ 参政党代表 神谷宗幣参議院議員2025年9月18日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】協同組合は生産者と消費者と国民全体を守る~農協人は原点に立ち返って踏ん張ろう2025年9月18日
-
「ひとめぼれ」3万1000円に 全農みやぎが追加払い オファーに応え集荷するため2025年9月18日
-
アケビの皮・間引き野菜・オカヒジキ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第356回2025年9月18日
-
石川佳純の卓球教室「47都道府県サンクスツアー」三重県で開催 JA全農2025年9月18日
-
秋の交通安全キャンペーンを開始 FANTASTICS 八木勇征さん主演の新CM放映 特設サイトも公開 JA共済連2025年9月18日
-
西郷倉庫で25年産米入庫始まる JA鶴岡2025年9月18日
-
「いざ土づくり!美味しい富山を届けよう!」秋の土づくり運動を推進 富山県JAグループ2025年9月18日
-
日本初・民間主導の再突入衛星「あおば」打ち上げ事業を支援 JA三井リース2025年9月18日
-
ドトールコーヒー監修アイスバー「ドトール キャラメルカフェラテ」新発売 協同乳業2025年9月18日
-
「らくのうプチマルシェ」28日に新宿で開催 全酪連2025年9月18日
-
埼玉県「スマート農業技術実演・展示会」参加者を募集2025年9月18日
-
「AGRI WEEK in F VILLAGE 2025」に協賛 食と農業を学ぶ秋の祭典 クボタ2025年9月18日
-
農家向け生成AI活用支援サービス「農業AI顧問」提供開始 農情人2025年9月18日
-
段ボール、堆肥、苗で不耕起栽培「ノーディグ菜園」を普及 日本ノーディグ協会2025年9月18日