「GAP=信頼できる産地」 全国GAP推進シンポで全農の戸井氏2019年7月31日
農林水産省は7月30日、JA全農と共催で「全国GAP推進シンポジウム」を同省の講堂で開催した。
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会では、農畜産物の調達要件としてGAP認証取得などが求められていることから産地でのGAP認証の取り組みが進んだが、同省では、オリ・パラ後も見据え、輸出拡大などわが国農業の競争力の強化を図るためにも「GAP認証の取得」を推進する。
吉川貴盛農林水産大臣は、主催者あいさつで、「2020年東京オリンピック・パラリンピックに必要なGAP認証取得農畜産物などの出荷量は確保できる見込みとなった」と述べた。また、日本発のGAP規格「ASIAGAP」が2018年10月にGFSI承認を取得し、「GLOBALG.A.P.」と同等の国際水準GAPとして国際的に認められたことについても触れ、「農水省としてもGAPの取り組みや認証取得の拡大に最大限の努力をする」と語った。
続いて講演を行ったJA全農の戸井和久チーフオフィサーは、はじめに、自らが社長を務めたことがあるイトーヨーカ堂で、青果部長時代に産地と取り引きしてきた経験や同社の「顔が見える野菜。果物。」「顔が見えるお肉。たまご。」での取引先農場のGAP取得状況や、現在13拠点に拡大したセブンファームのうち11拠点がJGAP認証を取得したことを紹介。
JAグループのGAP対応については、まずJAグループの全国4連が協力し、JAグループ全体でGAPを推進するため、「GAP支援チーム」を設置したこと、JA全農とJA全中が中心となって、JAの部会などがGAP団体認証を取得するための支援を行う現地アドバイス事業などの取り組み内容を紹介した。これまで同事業で支援した産地は、平成29年度から令和元年度6月までに15県22部会14品目に上っている。
また、戸井氏が直接指揮するJA全農の営業開発部は、耕種総合対策部GAP推進課と連携し、生産サイドのGAP品目を実需者サイドとマッチングさせる機能を発揮。戸井氏は、GAPは現状では「生産者・中間流通・消費者の3者が互いにGAPの価値やメリットが分からず、必要性を認識できない状態にある」と指摘したうえで、「GAP=売れる商品」との考え方は誤りで、正しくは「GAP=信頼できる産地」であると強調した。
これからのGAPについては、小売各社がリードしながら、調達基準としてGAP認証を利用していくことで、GAPが生産側に広まって行き、その結果、お客様の認知が高まることで、GAPの価値が向上し、生産者にとってのメリットが明らかになり、モチベーションを高めていくだろうと予測した。
その後、シンポジウムでは、GAP取り組み事例発表とその発表者をパネラーとして、武田泰明GAP総合研究所専務理事をモデレーターとしたパネルディスカッションが行われた。参加者は次のとおり。
【パネリスト】
▽水内勇・大分県農業協同組合営農部営農企画課係長
▽豊下勝彦・ポークランドグループ代表
▽岸田賢・(株)日本農業国内農業部
▽西岡亨佑・(有)ワタミファーム代表取締役社長
▽三原美彦・(株)モスフードサービス商品流通部長
【オブザーバー】
▽新本英二・農林水産省生産局農業環境対策課農業環境情報分析官
▽門永章宏・JA全農耕種総合対策部GAP推進課長
▽浦田克博・JA全農畜産総合対策部次長
※吉川貴盛農林水産大臣の「吉」の字は、正式には異体字です。
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