概算要求2兆7269億円-31年度農林水産予算2018年8月31日
農林水産省は8月30日、平成31年度農林水産予算概算要求を決定した。総額で2兆7269億円を要求。30年度予算額に対して118.5%となっている。
公共事業費は8308億円で30年度予算額に対して121.1%となっている。このうち農業・農村整備は3917億円(同122.0%)、農山漁村地域整備交付金は1100億円(同120.0%)、災害復旧等は193億円(同100.0%)となっている。
農業分野の重点事項は担い手への農地集積・集約化による構造改革の推進、水田フル活用と経営所得安定対策の着実な実施、強い農業づくりのための基盤づくりと「スマート農業」の実現など6項目とした。
強い農業づくり交付金と経営体育成支援事業を統合し、産地・担い手の発展状況に応じて、必要な農業用機械・施設の導入を支援する「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」を創設し275億円要求する。
また、水稲からの作付転換による新たな園芸産地の育成や、果樹の優良品種への改植とそれにともなう未収益期間への支援などに持続的生産強化対策事業として224億円を要求する。
スマート農業では、モデル農場での体系的で一貫した技術実証を支援する加速化実証プロジェクトとして50億円を要求する。
水田活用の直接支払交付金は30年度当初予算と同額の3304億円を要求。農業協同組合の監査コスト合理化の促進のため2億円を要求する。
重点事項のおもな予算要求は以下のとおり。
【農地中間管理機構による担い手への農地集積・集約化の加速化】192億円
機構の事業運営、地域等への協力金の交付、農業委員会の農地利用最適化に向けた活動支援
【農業協同組合の監査コストの合理化促進】2億円
公認会計士監査への移行に際し、監査コストの合理化を図るための農協の主体的な取り組みを支援
【水田活用の直接支払交付金】3304億円
飼料用米、麦、大豆等の戦略作物の本作化、産地交付金による地域の特色ある産品の創造を支援
【農業再生協議会の活動強化等】88億円
農業再生協が行う水田フル活用ビジョンの作成・周知、経営安定所得の運営に必要な経費支援
【収入保険制度の実施】335億円
加入者の負担軽減と事務円滑化のため保険料、積立金の国庫負担を実施
【農業農村整備事業】3917億円
農地の大区画化・汎用化、水路のパイプライン化、老朽化した農業水利施設の長寿命化と豪雨・耐震化対策
【強い農業・担い手づくり総合支援交付金】275億円
産地・担い手の発展状況に応じて必要な農業機械・施設の導入を支援
【持続的生産強化対策事業】224億円
野菜、果樹、茶・薬用作物、花きなど生産性向上や販売力強化に向けた取り組みを支援
【ICTを活用した畜産経営体の生産性向上対策】(持続的生産強化対策事業で実施)
酪農家や肉用牛農家の労働負担軽減・省力化に資するロボット、AI、IoTなどの先端技術の導入などを支援
【スマート農業加速化実証プロジェクト】50億円
スマート農業の全国展開を加速化するためモデル農場での体系的、一貫した形での技術実証を支援
【海外需要創出支援と輸出環境整備】58億円
分野・テーマ別の輸出先市場開拓の支援、輸出環境整備に関わる科学的データの分析など支援
【グローバル産地の形成支援】2億円
輸出に積極的に取り組もうとする産地・農業者等のコミュニティ形成支援、米の輸出向け低コスト生産を支援
【中山間地農業ルネッサンス事業】500億円
地域コミュニティによる農地等の地域資源の維持、継承に向けた取り組みを総合支援
【農泊の推進】63億円
増大するインバウンド需要を呼び込み、農山漁村の所得向上に向け「農泊」をビジネスとして実施できる体制の構築など支援
【鳥獣被害防止対策とジビエ活用の推進】124億円
ICTを活用したスマート捕獲対策とジビエ利活用の拡大に向けたモデル地区展開を支援
(関連記事)
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