バイエルの種子・農薬事業を追加買収 BASF2018年5月7日
BASF(ドイツ)は、バイエル社(ドイツ)の種子と農薬に係る事業・資産を追加で買収することについて同社と合意した。
2017年10月の両社の合意内容に追加して買収するのは、野菜種子事業、特定の種子処理事業、小麦交配種の研究開発プラットフォーム、デジタル農業プラットフォームで、BASF社では「農薬事業を補完し農業生産者により幅広い製品を提供すること、さらなる技術の獲得により成長とイノベーションを促進する」としている。この追加買収金額は17億ユーロ(1ユーロ130円計算で、約2200億円)で、前回に合意している59億ユーロと合せると約1兆円規模の買収となる。
新たに追加買収した事業は、
▽Nunhems(R)ブランドで世界的に販売されているすべての野菜種子事業
▽Poncho(R)、VOTiVO(R)、COPeO(R)、ILeVO(R)の各ブランドで販売されている種子処理製品
▽小麦交配種の研究開発プラットフォーム
▽最新のデジタル農業プラットフォーム、xarvio(TM)
この合意にはバイエルのオーストラリアにおける菜種事業、主に非農耕地で利用される欧州における特定のグリホセートを用いた除草剤、キャノーラ品質カラシナの研究、特定の非選択性除草剤と殺線虫剤研究プロジェクトが含まれる。
なお、この買収によって、バイエルからBASFへの2500人の従業員の移籍が含まれており、BASFはこの移籍される従業員について「正社員として現在と同等の条件下で最低3年間は継続する」と約束している。
今回と前回の合意で買収する全ての事業のバイエルでの17年通期売上高は22億4500万ユーロ(約2920億円)、16年通期売上高は20億ユーロ(約2600億円)だという。これによるBASF社の農業関連事業の売上規模は約40%増加するとみられている。
これらの買収は、バイエルによるモンサント買収が実現することが前提となっており、ドイツ・バイエル社社長のヴェルナー・バウマンは「今回の動きによって、私たちは、モンサント取引の成功裏のクロージングを可能にするために、欧州委員会および他の規制当局に保証した合致内容を実施していく」と説明。「私たちは、BASFという強力な買い手を見い出すことができ、継続して生産者のニーズに尽くし、かつ私たちの従業員に長期的な展望を与えてくれるだろうことを喜ばしく思っている」と述べている。
BASF取締役で農業関連製品事業を管轄するサオリ・デュボーグは「この合意は農業分野におけるBASFの将来を形成する上で、重要な節目となる。新たな社員がチームに加わり、私たちの成長過程で重要な役割を果たしてくれることを期待し、楽しみにしている」と述べている。
また、BASF取締役会会長のDr.クルト・ボックは「この買収により、BASFは農薬製品群を強化するとともに主要市場の種子事業に参入し、農業生産者にとってより良いパートナーとなる。買収範囲の拡大により、全世界で成長基盤の構築を加速する」と述べている。
これらの取引は2018年第2四半期(4-6月)に予定されているバイエルによるモンサントの買収取引の実行が条件となっている。注目されるのは、残されたあと1カ月余で米国がこの買収計画を承認するのかどうかだが、トランプ米国大統領とメルケル独首相との会談でもこの件についての話はしていないので、買収は99%実現されるだろうとみられている。
これが実現すると、世界の農業関連市場は、シンジェンタ・中国化工(中国)、ダウ・デュポン(米国)、バイエル・モンサント(ドイツ)、BASF(ドイツ)のビッグフォー時代となるが、BASFがバイエルから買収するのは野菜種子等なので、北米・南米などでの穀物種子市場でバイエル・モンサント、ダウ・デュポンとの戦いにBASFが即参戦することにはならないだろうとみられている。
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