秋肥価格を値上げ JA全農2013年5月31日
JA全農は5月30日、平成25肥料年度の秋肥の主要品目価格(6?10月)を公表した。大幅な円安の進行で肥料原料の輸入価格が上昇していることなどから値上げする。
◆為替変動の影響大
前期(24年11月?25年5月)と比べた価格変動率は、高度化成肥料の基準銘柄「一般15-15-15」(窒素、りん酸、カリの成分)で4.6%の値上げとなる。
そのほか窒素質では国産尿素が9.3%、塩安が7%など、りん酸質では過石が4.2%、カリ質では硫加が6.2%の値上げとなる。
国産窒素は原油相場の高止まりと急激な円安による主原料(アンモニア)の価格上昇から値上げした。輸入尿素の国際市況は軟化傾向にあるものの、大幅な円安の影響で値上げした。
りん酸質の原料のりん鉱石も国際市況は弱含みだが、円安の影響で値上げ、カリ質も国際市況とともに海上運賃も弱含みという値下げ要因もあるが、大幅な円安の影響が大きく値上げした。
肥料原料は長期的には世界人口の増加と新興国の経済発展などにともなう食料増産を反映して市況の上昇基調が指摘されてきたが、昨年から今春にかけては欧州、中国、北米は天候不順で作付けが遅れ例年のような肥料価格の上昇がみられなかったという。ただし、それを上回って肥料価格に影響したのが、大幅な円安ということになる。
複合肥料は、原料代に加えて製造にかかるコスト(電力の値上げ、円安による重油高騰)や、包装資材の原料となっているナフサ価格の上昇なども反映して値上げとした。有機化成はナタネなど植物質有機原料が大幅に上昇していることから、値上げ率が5.7%となった。
◆エコ肥料の開発推進
JA全農では中長期的にも肥料原料価格の上昇基調が続くと予想されることから、施肥コスト抑制銘柄の開発・普及、省力型施肥技術の普及に取り組む。 とくに地域で発生する安価な未利用資源の活用に力を入れ、6月からは鶏糞燃焼灰を使用した「PKセーブエコ」を供給する。品目は鶏糞燃焼灰を20%配合した「PKセーブエコ488」と配合割合を変えた2品。従来の「PKセーブ488」とくらべて7%ほど安価だという。
また、下水からの回収りん酸を活用した銘柄や、家畜糞たい肥や食品残さたい肥など昨年の法制度の改正で新たに生産が可能となった「混合堆肥複合肥料」も開発、これは7月からの供給開始に向けて現在メーカーと協議を続けているという。
そのほか、元肥一発体系など省力型施肥技術の普及推進や、土壌分析・診断にもとづく適正施肥の実施にも取り組む。
(関連記事)
・石灰窒素肥料の販売再開(2013.05.15)
・国内アンモニア産業の競争力を強化 肥料アンモニア協会が賀詞交歓会(2013.01.09)
・亜リン酸で農産物の高品質化・収量増 土づくりシンポジウム(2012.12.05)
・肥料価格2期連続で値下げ JA全農24肥年度春肥価格を決定(2012.10.31)
・肥料の公定規格改定 たい肥との複合肥料が普通肥料に(2012.09.05)
・複合肥料出荷量4年ぶり前年比減 平成23肥料年度需給実績(2012.09.04)
重要な記事
最新の記事
-
(443)矛盾撞着:ローカル食材のグローバル・ブランディング【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年7月11日
-
【注意報】ピーマンにアザミウマ類 県内全域で多発のおそれ 大分県2025年7月10日
-
【注意報】トマト、ミニトマトに「トマトキバガ」県内全域で多発のおそれ 大分県2025年7月10日
-
【注意報】イネカメムシ 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2025年7月10日
-
【特殊報】メロンにCABYV 県内で初めて確認 茨城県2025年7月10日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】コメ増産こそが自給率を向上させる~輸入小麦をコメで代替すれば49%2025年7月10日
-
【第46回農協人文化賞】地道な努力 必ず成果 経済事業部門・愛知県経済連会長 平野和実氏2025年7月10日
-
【第46回農協人文化賞】全ては組合員のため 経済事業部門・宮崎県農協副組合長 平島善範氏2025年7月10日
-
ジネンジョとナガイモ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第348回2025年7月10日
-
【2025国際協同組合年】SDGsと協同組合 連続シンポジウム第4回2025年7月10日
-
備蓄米 コンビニの7割で販売を確認 7月9日時点 農水省調査2025年7月10日
-
【人事異動】農水省(7月11日付)2025年7月10日
-
水稲の斑点米カメムシ類 多発に注意 令和7年度病害虫発生予報第4号 農水省2025年7月10日
-
【JA人事】JA加賀(石川県)新組合長に道田肇氏(6月21日)2025年7月10日
-
【JA人事】JA新みやぎ(宮城)新組合長に小野寺克己氏(6月27日)2025年7月10日
-
「田んぼの生きもの調査」神奈川県伊勢原市で開催 JA全農2025年7月10日
-
「米流通に関するファクトブック」公開 米の生産・流通など解説 JA全農2025年7月10日
-
「おかやま和牛肉」一頭買い「和牛焼肉 岡山そだち」ディナーメニューをリニューアル JA全農2025年7月10日
-
本日10日は魚の日「呼子のお刺身いか」など150商品を特別価格で販売 JAタウン2025年7月10日
-
転炉スラグ肥料がイネの発芽・発根・出芽を促進 農研機構2025年7月10日