「園芸王国福島を未来へ」 JA、県が説明会2013年4月16日
JA全農福島と福島県は4月15日、東京・平河町のJA共済連ビルカンファレンスホールで「平成25年度 福島県青果物安全・安心な取組み説明会」を開いた。流通、小売業者など中心に250人以上が参加した。
◆品薄時期のみ単価があがる福島県産
福島県では、原発事故による風評被害を克服しようと、昨年、全国4都市で行政やJAグループによる放射性物質モニタリング検査などの実施状況などについて説明会を開催。のべ1000人以上が参加した。
県では、県産農産物の消費拡大のため、県産品についての適切な情報発信を強化しようと、昨年度に引き続き説明会を開催した。
JA全農福島の本田良智県本部長は、24年度に全国の量販店1600店舗以上で販売キャンペーンが開催されるなど、小売・流通業や消費者からの理解と支援が広がっていることに感謝を述べつつも、昨年の販売状況を「県産品の出荷数量が増えると、指名順位が下がり、他県産以上に販売単価が下落するのだが、品薄時期には他県産並みの単価に上がるという、産地として不本意な状況」だと報告し、「園芸王国福島を未来へとつなぐため、こうした流通が定着しないようにしてほしい」と理解を求めた。
◆「福島産のおいしさ、安全さを再認識してほしい」
来賓として出席した皆川芳嗣農水事務次官は、24年産のモニタリングの結果、青果物の汚染はほとんどなくなり、米も1000万袋以上の全袋調査のうち基準値である100Bqを超過した袋はわずか0.001%以下だったと紹介。これについて、「カリウム肥料を施肥することで放射性セシウムの吸収を妨げるなど、JAや行政の徹底した指導と被災農家の努力のたまもの。ぜひ、福島県の農産物のおいしさ、安全さを再認識してほしい」と応援した。
福島県では、25年度の風評被害対策として、24年度に続いて適切な情報発信とトップセールスの拡大に取り組むほか、テレビCMや産地ツアーなどを企画する方針だ。
◆2年間で風評被害の形態が変容
このほか、福島大学の小山良太准教授が「モニタリング検査結果から導き出されること」をテーマに基調講演を行った。
このなかで小山准教授は、原発事故発生直後と、2年経ち検査体制が整った現在では「風評被害」の形態が異なっていると指摘。
いま不安に感じている人の多くは「検査が不十分ではないか」とか、「基準値越え」のモノが流通しているのではないかと疑っている。現在福島では行政、JAが一体となって米の全袋検査実施だけではなく、つくる前の段階で土壌のリスクを評価し「放射性物質」を吸わない農業をやっている。そのことを消費者だけでなく取引業者にも徹底する必要があることを強調した。
(写真)
上:本田良智・JA福島県本部県本部長
下:250人以上が参加し、会場はいっぱいだった。
(関連記事)
・東電、土壌汚染対策費用は一切認めず(2013.04.02)
・福島県の玄米から基準値超える放射性セシウム 当該の米は流通せず(2012.11.26)
・福島県青果物の安全・安心な取組みを説明 大田市場でJA全農福島など(2012.06.14)
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