食料・農業・農村基本計画と日本の生協【JCA週報】2020年10月26日
「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長 中家徹JA全中代表理事会長、副会長 本田英一 日本生協連代表理事会長)が、各都道府県での協同組合間連携の事例や連携・SDGsの勉強会などの内容、そして協同組合研究誌「にじ」に掲載された内容紹介や抜粋などの情報を、協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、「食料・農業・農村基本計画と日本の生協」です。協同組合研究誌「にじ」2020年秋号に寄稿いただいた板谷伸彦・日本生活協同組合連合会政策企画室長の報告の一部を紹介します。
協同組合研究誌「にじ」2020年秋号
食料・農業・農村基本計画と日本の生協
板谷 伸彦 日本生活協同組合連合会 政策企画室長
板谷 伸彦日本生活協同組合連合会
政策企画室長
筆者は1995年から1年間、官庁(当時の厚生省)に出向して勤務した経験を持ちます。20歳代の若輩とは言え日本生協連からの初めての出向者ということで、受け入れ側にもそれなりに興味を持っていただいたようでした。ある日、当時の課長から「生協とスーパーは何が違うのか?」と尋ねられ、私は消費者の参加、経済民主主義のような主旨で返答。するとそれを聞いた別の課長曰く「・・・では、生協と行政は何が違うのか?」。
利用者多数の参加によって運営される生協事業は、単なる「業」ではなく疑似「公共」の色彩を帯びます。上記のエピソードはそのことに気づかせてくれる出来事でした。食料・農業・農村基本法(1999年制定。以下、基本法と略す)は、「農業」に「食料」「農村」を並置することによって、農「業」のための法律から「公共」のための法律へ大きく生まれ変わりました。この基本法の原点を思い起こしながら生協の関わり方を考えることは意義のあることだと思います。グローバル化の下で「ローカル性への期待」が高まり、財政危機下での「公助の後退」と格差拡大下での「自助の限界」が露呈する中で、協同組合のような民間の共助組織・地域組織への期待はこれからも益々高まってくると思うからです。
日本生協連は基本法の制定時に農業政策への提言をまとめ、以降5年毎に食料・農業・農村基本計画(以下、政府基本計画と略す)の改定に合わせて国への政策提言と生協の方針検討を重ねてきました。以下では、生協の過去の提言や方針をふりかえりつつ、現在と未来への私の問題意識について報告したいと思います。なお、2020年改定に合わせた方針検討は、現在(7月)、日本生協連の理事会専門委員会の場で未だ議論の途上にあります。筆者はその事務局を担当しているものの知見の不足は否めません。本稿は筆者なりの解釈としてご笑覧に供することにしたいと思います。
(以下、章立ては以下の通りです)
1.日本生協連の食料・農業方針の変遷
2.生協の2030年ビジョンと2020年の食料・農業方針の検討
3.2020年の政府基本計画の改定をどう見るか
4.多様な形の農業を維持・発展させていくために
5.食に関する関心を高め、エシカル消費を推進していくために
6.協同組合のさらなる役割発揮に向けて
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