シンとんぼ(30)スマート農業は役に立つのか?④2023年2月11日
シンとんぼは、現在、スマート農業が本当に役立つものなのかをテーマに検証を試みている。
今回から、一番関心の高いであろう「農作業の省力化・労力軽減が図ることができる技術」について検証してみようと思う。前回紹介したホームページに照会されている技術を整理してみると大きく分けて次のような技術に集約できるようだ。
それは、①GPSを利用した自動操舵・制御による農業機械、②農業用ドローン、③水管理システム、④自動草刈り機、⑤収穫機、⑥出荷調整機の6つである。それでは、順番に役立つのか検証していってみよう。
まずは、①GPSを利用した自動操舵・制御による農業機械だ。この分類は、GPSによる位置情報を利用して自動運転をする農業機械全般のことを指し、自動運転・制御トラクターやコンバイン、田植機、可変施肥機がある。
まず、トラクターであるが、完全自動運転をするタイプと直進をアシストするタイプとがある。
自動運転するタイプは、GPSの情報をもとに、自動的にほ場の中を効率良く耕起、整地するものだ。トラクターによる耕起作業は、運転技術の習熟度によって作業時間に差が出るもので、特にほ場の端でのターンの仕方で時間差が出てくる。また、ほ場を満遍なく均一に耕起できるかどうかによって仕上がりに差が生じ、その良し悪しによって、栽培成績にも差が出てしまう。
公表されている令和2年スマート農業実証プロジェクト(農水省・農研機構)の結果によると、通常のトラクターと自動運転トラクターを同一のオペレーターで同様に作業したところ、通常のトラクターを使用した場合の作業時間に比べ、自動運転トラクターを使用した作業時間は4%~54%(平均30%)の短縮となった。作業時間の差は労働費削減の差に結び付くため、コストダウンに結びつく結果となった。これに加え、オペレーターの作業ストレス減少や、未熟なオペレーターでも農の匠なみの作業ができた。また、技術の差が出やすい水田の代かき作業でも、ロボットトラクタの導入により、代かき作業の効率がよくなり作業時間を平均で26%削減できた。加えて、自動運転によって、代かき作業の無駄である重複・やり残し・旋回ミスを減らし、新人でも作業できた。このように、自動運転トラクターは、労力の軽減、作業時間の短縮に役立ち、作業未熟者の作業品質の向上にも役立つようだ。こういったメリットを考えると、自動運転トラクターの導入効果は大きいと考えられるが、一方で導入費用が高いので、導入する場合は、収支面を十分に検討する必要があるだろう。
重要な記事
最新の記事
-
米の価格 過去最高更新 60kg2万6485円 茨城産あきたこまち4万円超2025年3月19日
-
政府備蓄米 第2回入札3月26日から実施 農水省2025年3月19日
-
「国賊」と「下剋上」【小松泰信・地方の眼力】2025年3月19日
-
神奈川県横浜市の歴史的風致維持向上計画を認定 農水省など2025年3月19日
-
高山市、国見町、奈良市の歴史的風致維持向上計画(第2期、第3期)を認定 農水省など2025年3月19日
-
GI取得「高山きゅうり」など農畜産物・加工品7産品 農水省2025年3月19日
-
JAグループ宮城ICT搭載農機実演研修会を開催 JA全農みやぎ2025年3月19日
-
有機質肥料「エコべジP721」発売 JA全農岐阜がJAぎふ・片倉コープアグリと共同で商品化2025年3月19日
-
サキホコレで咲き誇れ!~「ハレの日」企画 イラストレーター「凪」さんデザイン「サキホコレ」米袋数量限定販売 JA全農あきた2025年3月19日
-
「新潟ハーフマラソン2025」開催!参加賞としてニッポンエールグミを提供 JA全農にいがた2025年3月19日
-
「にいがた酒の陣2025」で新潟米をPR JA全農にいがた2025年3月19日
-
栃木県産「とちあいか」果汁使用「ストロベリーホワイトモカ」新発売 JA全農2025年3月19日
-
廃棄野菜を動物園の餌に 農林中金の紹介で九州西濃運輸が参画 長崎バイオパークとJA島原雲仙2025年3月19日
-
農福連携がテーマの直売所「ベジポケット」4月1日にオープン JA横浜2025年3月19日
-
SEADS(シーズ)令和6年度修了式 JA鶴岡2025年3月19日
-
地元の麦でまえばしうどん 麦豚カレーはスパイシーで味わい深く JA前橋市2025年3月19日
-
管内の恵みをジャムに いちごとうめ JA水戸2025年3月19日
-
コシヒカリの魅力、磨き上げ 7つの基準に生産者の誇り JA福島さくら2025年3月19日
-
【次期酪肉近本文案】酪農拡大路線を転換 生乳目標732万トン据え置き2025年3月19日
-
【JA全農の若い力】飼料畜産中央研究所(2)飼料品質で経営支援 山口真弥さん2025年3月19日