「協同組合らしさ」生かし社会に発信を 第100回国際協同組合デー中央集会 JA・生協・労協の実践共有2022年7月5日
日本協同組合連携機構(JCA)は7月4日、東京都内で国際協同組合デー中央集会を開いた。1923年の第1回目から、今年は、第100回目となる記念すべき年で、ICA(国際協同組合同盟)は、協同組合のアイデンティティ(定義・価値・原則)を改めて確認するよう呼び掛けている。中央集会では、JA・生協・労協(労働者協同組合=ワーカーズコープ)の取り組み報告とパネル討議を行い、協同組合のアイデンティティを再確認し、認識を共有した。
集会の様子
今年の国際協同組合デーの共通スローガンは「協同組合はよりよい社会を築きます」。今年は、協同組合の定義、価値、原則を定めた1995年のICA(国際協同組合同盟)の「協同組合のアイデンティティに関する声明」(「ICA宣言」から27年経つ。この間、技術改革やデジタル化が進み、事業や取引が様変わりした。
また、女性の教育機会が増え、生産活動やコミュニティ運営で公平な立場が得られるようになった。一方で貧国や格差、少子高齢化、気球規模の気候変動など協同組合をめぐる社会・経済環境が大きく変化した。
こうした状況のなかで、協同組合が協同組合らしさ(アイデンティティ)を生かして、暮らしや地域の課題に取り組み、持続可能なより良い社会をつくっていくことが必要との認識から、昨年の第33回ICAソウル大会で協議を深めることが打ち出された。修正も視野に入れ2025年までに一定の方向を示すことになっている。主催のJCAの中家徹代表理事会長は「100回目の記念すべき今年の協同組合デーを契機に、協同組合のアイデンティティへの理解を深め、協同組合らしさを発揮した、よりよい社会づくりの取り組みと、その社会への発信をともに進めよう」と呼び掛けた。
協同組合の価値を認識したパネル討議
事例報告では、愛媛県のJAおちいまばり、コープこうべ、労協センター事業団仙台地域福祉事業所けやきの杜が報告し、それをもとにパネルディスカッションを行った。協同組合は組合員にニーズや願いを実現するところであり、JAおちいまばりは経営管理委員に女性准組合枠を設けて、意思反映させている。渡部浩忠理事長は「組合員や地域のニーズを一つ実現すると新たな事業が生まれてくる」と、ニーズを事業化することの重要性を指摘した。
地域のきずなが薄れ、高齢者や子どもの孤立が社会問題になっている。このためコープこうべでは、地域の人の居場所づくりを進めている。独自のアプリをつくり高齢者のごみ捨てボランティア、買い物難民のための移動店舗を開いたり、宅配を兼ねて「みまもり」を行ったり、多様な支援活動を行っている。「高齢者の孤立は何十年後の自らの姿であり、移動店舗は赤字でも撤退はできない。赤字にならないよる地域の人に買い支えてもらうよう働きかける仕組みづくりが必要」と、地域とのつながりが重要であることを強調する。
ワーカーズコープ「けやきの杜」は子どもの居場所「みんなのBASE」を運営している。「より良い社会のためには、子どもに大人を信頼してもらうことが大事」と瀬戸理音所長。パネル討議ではJCAの比嘉政浩専務が「協同組合が人の組織であることが示された。他人へに配慮も協同組合の『価値』でうたわれている。これからも協議を進めたい」と締めくくった。
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