TPP11 協定案と関連法案が国会へ2018年3月29日
政府は3月27日にTPP11の協定案とTPP整備法の改正案を閣議決定し国会に提出した。今後、国会で審議される。
TPP(環太平洋パートナーシップ)協定は2015年10月に米国・アトランタの閣僚会合で大筋合意し、16年2月にニュージーランドで12か国が署名した。その後、わが国は協定案と関係法の改正案を国会で承認したが、米国はトランプ大統領が昨年1月の就任時にTPP離脱を表明した。
その後、日本政府は米国抜きでのTPP発効をめざして閣僚会合に参加し今年1月、TPP協定の一部を米国の不参加にともなって凍結させることを盛り込んだTPP11協定(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)として確定し、3月8日にチリ・サンティアゴで署名式を行った。
TPP11協定はTPP協定を組み込むことを定め、同時に米国が不在のために停止する項目を規定した。ISDS(投資合意、投資許可)、生物製剤データ保護など知財関係11項目を含む22項目を停止することを盛り込んでいる。
この協定の発効には11か国のうち6か国で国内手続きが完了すると、60日後に発効する。
TPP11協定案とあわせて閣議決定したのはTPP整備法の改正案。改正するのは法律の題名でTPP協定(TPP12協定)としていた部分をTPP11協定の正式名称に差し替えた。
TPP協定の関連法の対象は11法案で、このうちGI法(地理的表示保護制度)の改正は施行されているが、他の10本の改正法は施行日がTPP協定(TPP12協定)の発効日となっている。そのため現在まで未施行となっているが、その発効日をTPP11協定の発効日とする改正を行う。
農業関係では牛肉・豚肉の経営安定対策で生産コストと粗収益の差を補填する割合を8割から9割に引き上げ、豚肉については国庫補助水準を引き上げる畜産物の価格安定に関する法律がある。また、輸入加糖調製品にも調整金を課して砂糖との価格調整を行う法律も含まれる。いずれもTPP大筋合意後に総合的なTPP関連政策大綱のなかに盛り込まれたものだった。
協定が発効すればこうした経営安定対策が法律として発効することになる。しかし、TPP協定では農林水産物の関税撤廃率は81.0%となる。牛肉の関税は最終的には9%、豚肉は最終的には関税が1kg50円に引き下げさるほか、乳製品や米でもTPP枠が設定されている。関税撤廃は重要5品目も含まれおり、TPPはそもそも関税撤廃を追求する協定。発効すれば輸入急増の懸念もあり、再構築に向け改革の取り組みを進めてきた農業・農村の現場を直撃することもありえる。国会で改めてしっかり審議する必要がある。
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