新型コロナウイルス影響で政府に緊急要請 日本農業法人協会2020年3月10日
日本農業法人協会は3月10日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、農産物など物品の輸出入の制限や落ち込みなど農業分野での経済損失の発生を受け、「新型コロナウイルス感染症の影響に関する緊急要請書」を政府に提出した。
要請は、(1)経済活動の縮小に対する支援、(2)一元的相談窓口の設置、(3)労働力不足等への対応、(4)年度末行政手続きへの柔軟な対応、(5)農業経営のセーフティーネットに関する制度の大幅改善、(6)農産物の供給状況の開示及び国産農産物の重要性の啓蒙の6項目。農林水産大臣宛てに提出した要請書の詳細は以下の通り。
◆
1.経済活動の縮小に対する支援
(1)休校措置の要請やイベント自粛の要請に伴う取引停止に対する支援制度の創設
政府による休校措置や大規模イベント自粛の要請により農業者が販売機会を逸している。ついては、売上減少をカバーするための措置を講じていただきたい。特に卒業式、入学式等の式典シーズンを逃すことになる花卉生産者や学校給食向けに生乳を生産する酪農家については、他の業種以上に多大な影響を受ける恐れがあり、早急にご検討いただきたい。
(2)既往債務者の金融機関等に対する借入金の返済猶予等の緩和措置
販売減等の影響を受けている農業者の既往融資に関して、償還猶予等の措置や追加の運転資金に関して円滑な融通が図られるよう、日本政策金融公庫や民間金融機関に対する要請等を実施していただきたい。
(3)経営再建・発展に向けた制度資金の確保
景気減速により、売上の低迷が長期化する恐れがでてきている。ついては、資金繰り対策に万全に期すため、日本政策金融公庫が融通する農林漁業セーフティネット資金について、償還期間の延長、利子助成制度による無利子化、十分な予算確保をお願いしたい。
2.一元的相談窓口の設置
コロナウイルス感染症対策について、農業者が抱く様々な疑問や要望、相談事項に一元的に対応する窓口を農林水産省内に設置していただきたい。
3.労働力不足等への対応
従業員の感染による休業、休校により従業員が子供の養育を行うための休業や時短勤務、外国人技能実習生の出入国の制限や辞退による減員により、労働力不足等が懸念される状況となっている。ついては、子供を持つ従業員が勤務しやすい環境を整備し、本感染症対策の現状を正確に海外に周知するなど、従業員確保のための支援等の措置していただきたい。
4.年度末行政手続きへの柔軟な対応
国・地方公共団体に対して年末報告等が義務付けられている各種手続きについて、本感染症の影響によって難しくなった農業者に対し、締め切りの新年度への期限の延長や繰越など柔軟に対応していただきたい。
5.農業経営のセーフティーネットに関する制度の大幅改善
近年の甚大なる自然災害の多発化・広域化をふまえ、農業経営のセーフティーネットの重要性が増しているものの、農業収入保険制度は加入が進んでいない。そのため、大多数の農業経営者が加入しやすくなるよう、農業収入保険制度の補償の充実及び掛金負担の大幅軽減を実施していただきたい。
6.農産物の供給状況の開示及び国産農産物の重要性の啓蒙
マスクやトイレットペーパー等衛生用品のみならず、国産農産物で供給可能な米・卵などまで買い占め、品薄が問題になっている。また、輸入が滞ることで一部の主要農産物の供給不足、価格上昇が見受けられた。農産物の生産・輸入・在庫状況等の情報提供により、国民の不安払拭に努めていただきたい。なお、改めて、農業の重要性や国産農産物の振興が国民生活の安定に欠かせないものであることをしっかりと国民に周知していただきたい。
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