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種苗法改正 生産現場への周知必要2020年4月15日

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 種苗法改正法案が今国会に上程された。改正の狙いは登録品種の海外流出を防止するための措置などを創設することだとされるが、生産現場の一部からは、自家増殖が一律禁止になるのではないか、外国資本に種子が独占されるのではないかなどの声も出ている。改正内容について国会では慎重に審議するとともに、生産現場に分かりやすい議論をすることが求められる。

おもな登録品種と一般品種の例(農水省資料から作成)おもな登録品種と一般品種の例(クリックで拡大)

◆一般品種が8割から9割
 わが国の農産物の品種には一般品種と登録品種がある。一般品種は▽在来種、▽品種登録されたことがない品種、▽品種登録期間が切れた品種に区分される。

 農林水産省によれば一般品種の割合は、米84%、みかん98%、りんご96%ぶどう91%、馬鈴しょ90%、野菜91%とほとんどが一般品種となっている。

 種苗法の改正は、登録品種についての海外流出を防止する措置を設ける。背景となったのは、出願期限が切れたシャインマスカットやサクランボ品種「紅秀峰」など優良品種の海外流出だ。これらの事例は現行法では違法ではない。しかし、農水省はわが国の農産物輸出に影響するとして法改正を行う。

 現在は登録品種が販売された後、海外に持ち出されることは違法ではない。また、登録品種が自家増殖された後に海外に持ち出されることは違法だが、農水省によれば増殖の実態が把握できないため抑止できないという。登録品種の果樹などを接木で自家増殖したものの一部が採取されて海外に流出してしまうケースがあったとしても把握できない。

 そこで法改正によって品種の育成者権者(農研機構や都道府県の試験場など)が輸出先国や栽培地域など条件を指定できるようにするというもの。その条件に反して海外へ持ち出したり、指定地域外で栽培した場合は育成者権の侵害となる。侵害罪は10年以下の懲役または1000万円以下の罰金とすることが改正法案に盛り込まれている。

 農水省は輸出や栽培地域に関わる内容を農水省HPで公示し、登録品種であることと利用に制限があることの表示も義務づけるとしている。

 あわせて農業者の自家増殖についても育成者権者の許諾を必要とするよう改正される。

 

◆現場の負担軽減を
 これについて自家増殖は一律禁止との受け止めも出たが、自家増殖に許諾が必要になるのは都道府県の試験場などが時間とコストをかけて開発した登録品種のみである。それ以外の一般品種についてはこれまでと同様に自由に自家増殖できる。

 ただ、登録品種の自家増殖も禁止ではないが、品種を開発した育成権者から了解を得ることが必要になる。

 そのため一部の登録品種では許諾料が発生することも想定される。農水省によるとある登録品種の稲の例では10aあたり3円、ブドウの苗木1本で60円という例があるという。また、野菜の種子はF1がほとんどのため種子による自家増殖はそもそもできない。

 一方で各県で相次ぐ登録品種によるブランド米の開発と産地づくりでは一定の栽培条件を満たす生産者のみが栽培してブランドを守ることを戦略にしている地域も多い。逆にこうした産地の登録品種が海外流出することにでもなれば、生産者の意欲をそぐことになり、知的財産を守って農業振興を図ることに理解も必要になっている。

 許諾料について公的機関が開発した品種であれば高額になることは想定されないとしているほか、許諾料自体が優良品種の開発に投じられるものとしている。
 ただし、生産者コスト増の懸念や、JAなどで事務負担も考えられることから負担軽減を図る仕組みも必要で、農水省は団体などまとめて許諾を得ることができるよう検討していくとする。
 登録品種は新たなに品種開発されたものであり、在来種や1年以上流通している品種は品種登録できない。これまで栽培している一般品種が登録されて許諾料が発生するようなことはない。

 

◆都道府県の役割重視を
 今回の種苗法改正では2年前に廃止した主要農産物種子法の廃止と関連も取り沙汰される。

 種子法は種子の増殖を目的として制定されたもので対象は稲、麦類、大豆だった。

 一方、種苗法は対象はすべての植物だが、新たに開発された品種(登録品種)の知的財産権を守るため法律だ。

 ただ、種子法廃止で種子生産への不安も聞かれる。一方、種子法廃止後、15道県で条例が制定されている(令和2年1月)。種子法が対象としていた稲、麦、大豆に加え北海道では小豆、えんどう、そばなどを加えているほか、栃木県ではいちご、長野県ではそばと伝統野菜などを追加している。条例では地域の特性にあわせてしっかりと種子供給体制をつくろうとしているともいえる。

 種子法廃止では農業競争力強化支援法にもとづき種子生産・供給における都道府県の役割を後退させ、民間活力導入の名のもと、各県で蓄積してきた知見について民間への引き渡しを促すような行政通知も行われたが、こうした条例制定の動きをふまえ国も都道府県の役割を改めて位置づけることは現場の懸念払しょくに必要ではないか。種苗法改正を現場に周知することと合わせて求められている。

種苗法を考える

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