食料安保予算 新たに確保を 今秋から基本法検証 自民委員会が提言2022年5月19日
自民党の食料安全保障に関する検討委員会は、5月19日に開かれた総合農林政策調査会、農林部会などの合同会合に食料安保の強化に向けた中間とりまとめ案を提示し了承された。4月決定の肥料や飼料の高騰対策など「総合緊急対策」を第1弾とし、第2弾として思い切った「食料安全保障予算」を新たに確保することや、将来を見据えこの秋から現行基本法の検証作業を本格化すべきことなどを政府に提言する。
5月19日の自民党の農林水産関係合同会議
提言では、コロナ・ウクライナ情勢で局面が変わり、脱炭素の取り組みと合わせて「食料安全保障の強化は国家の喫緊かつ最重要課題となっている」と基本的考え方を示した。
検討会の森山裕委員長は当初から当面の対策と中長期的な検討課題を整理する考えを示していたが、提言では4月に政府が決めた総合緊急対策に続き、通常予算とTPP対策予算とともに「食料安全保障予算」を新たに確保する当面の対策と、幅広い観点から基本法を検証、見直して「数十年先を見据えた食料・農林水産政策」を確立すべきと提言した。
「食料安全保障予算」の検討方向のうち、肥料については、化学肥料の低減などに取り組む農業者に対し「肥料の急激な価格高騰に対する影響緩和対策の仕組み」を創設、今年の秋肥にも対応できるよう具体化を進める。
「肥料原料の民間備蓄に対する支援の仕組み構築」や「調達多角化支援」も行う。
小麦・大豆・トウモロコシなど輸入依存穀物の増産と備蓄強化も進める。大幅増産に向けた大胆な支援の創設、徹底した排水にこだわった土地改良を加速するための「農家負担ゼロ事業の構築」、粗飼料も含めた国産飼料増産体制の強化、備蓄の検証も行う。
輸入小麦の価格高騰の一方で米は需給が緩和していることから、米粉の増産と米粉製品の開発支援を集中的に行う。
そのほか、食料安全保障と一体となったカーボンニュートラルを推進するために、環境に対する直接支払いの強化や、中山間地域の振興、輸出促進などを挙げている。
こうした当面の政策の拡充を進めるともに、人と農地、フードシステム、価格形成、条件不利地域、環境との調和など、幅広い観点でこの秋から現行基本法の検証作業を本格化し、次期基本計画の策定を行えるよう検討を進めるべきだと提起した。
また、政府に新たに食料・農林水産政策を統括する「食料安全保障対策本部(仮称)」を立ち上げるべきだしている。
党の政務調査会で了承を得たうえ23日の週にも岸田首相や金子農相に提言するという。
森山氏は「中間とりまとめは今取り急ぎやらなくてはならないことをまとめた」として参議選の公約に反映させる考えを示し、今後はカーボンニュートラルの実現に向けた農業のあり方など、基本法の検証もふまえて引き続き議論をしていくと話した。
江藤拓総合農林政策調査会長は「農政には経済合理性が重視されたが、食料安保の観点を入れるとなると経済合理性だけでは論じられない。新しいステージの農政を構築していかなければならない。予算、制度、基本法もこれでいいのか、多角的な議論が必要だ」と話すとともに、「国民の意識の醸成なくして食料安保の確立は難しい。国民の意識の変化を促す取り組みを大事」と強調した。
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