農政:自給率38% どうするのか?この国のかたち -食料安全保障と農業協同組合の役割
内田樹氏に聞く「国民を飢え死にさせない」(3)2018年8月10日
「グローバル資本主義は終焉する」からこれからは従来の「成長モデル」から「定常モデル」へ基本的な考え方を変えるべきだと内田樹氏は近著で説いている。その内田氏の説に大きな刺激を受けているという小松泰信教授に聞き手になっていただき、食料安全保障と農業そして農協の在り方についてお話いただいた。
◆自給率ゼロのシンガポールが日本の目標
小松 いま、政権の思うつぼ、と言われましたが、農業問題も含めて現政権はこの国をどこに着地させようと舵を取っているのでしょうか。
内田 行き先は、「シンガポール化」です。人口減局面で、政官財が日本の「明日の姿」としてひそかに目指しているのは、その方向です。シンガポールの国是は「経済成長」であり、すべての社会制度は経済成長に資するか否かを基準に適否が決定されます。ですから、「世界で一番ビジネスがしやすい国」だと言われている。この台詞を聞かれたことありますよね。安倍首相も言いましたから。そして今日のテーマに合わせれば、シンガポールは食料自給率ゼロの国です。
小松 自給率ゼロと言うことはすべて輸入ですよね。
内田 農地なんか地価を考えたらありえない。水さえマレーシアから買っているのです。生きるために必要なものはすべて金で外国から買うしかない。だから「まず金が要るのだ」というのは、シンガポールにおいては必然性があるのです。
小松 最近与党の中で、「逆立ちした食料安全保障論」、つまり平和外交で安定した取引国を有することで、国民を飢えさせなければ良いんでしょ。何も自給にこだわる必要はない、と言う考え方が出てきたのもその流れでしょうか。
内田 そうだと思います。シンガポールは金で食料を買って、国民を飢えさせていないわけですから、その点では成功モデルです。でも、どうして日本がシンガポールの真似をしなければならないのか。シンガポールにしても好んでそうなったわけではありません。資源がないからそれ以外に生きる道がなかったのです。金を稼いで、食料を買い、水を買うしかなかった。でも、日本は国情が全く違う。豊かな自然があり、植物も動物も多様な種が育っている。
エコノミストは「フロー」の話ばかりしますけれど、わが国が有している「ストック」の厚みについては語らない。例えば、わが国の森林率は68%。これは欧米とは比較にならないほどの高率です。この豊かな資源をどうやって生かすかという議論にならず、投資対象として儲かるか儲からないかという「フロー」レベルで農業を論じている。
(関連記事)
・自給率38% どうするのか?この国のかたち -食料安全保障と農業協同組合の役割
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(185)食料・農業・農村基本計画(27)麦に関するKPIと施策2026年3月21日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(102)ニコチン性アセチルコリン受容体競合的モジュレーター(4)【防除学習帖】第341回2026年3月21日 -
農薬の正しい使い方(75)細胞壁(セルロース)合成阻害剤【今さら聞けない営農情報】第341回2026年3月21日 -
FAO 国連食糧農業機構【イタリア通信】2026年3月21日 -
【浜矩子が斬る! 日本経済】平和と経済の関係 人権侵す戦争とは乖離2026年3月19日 -
3カ年計画の着実な実践へ 5つの重点取組事項 2026年度JA共済事業計画2026年3月19日 -
配合飼料供給価格 トン当たり約1250円値上げ 2026年4~6月期 JA全農2026年3月19日 -
「有機」「オーガニック」 内容知らない消費者6割強2026年3月19日 -
【世界を診る・元外交官 東郷和彦氏】米国大統領の"変貌" 日本外交も節目2026年3月19日 -
「備蓄米の機動的買い戻しを」 米価下落懸念し特別決議 米どころ山形のJA県中央会2026年3月19日 -
飲用に使われた桜とニセアカシアの花【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第381回2026年3月19日 -
加工食品におけるカーボンフットプリント(CFP)算定ガイドを改定 農水省2026年3月19日 -
「花がなくてもかまわない消費者」にどう向き合うか【花づくりの現場から 宇田明】第81回2026年3月19日 -
今年は5月10日「母の日プレゼントキャンペーン」開催 JAタウン2026年3月19日 -
TOKYO FMホリデースペシャル「春のうまいもの祭」JA全農提供の3番組がコラボ2026年3月19日 -
【役員人事】JA三井リース(4月1日付)2026年3月19日 -
【Jミルク26年度計画】脱粉削減拡充も 生乳需給安定へ検討2026年3月19日 -
第67回全国家の光大会レポート 記事活用、教育文化活動が力2026年3月19日 -
水稲など13品目に対応「土壌診断AI」開発 土壌管理の高度化と生産性向上に期待 農研機構2026年3月19日 -
北信地域の農業を支える新拠点「農機具王 長野中野店」4月1日オープン2026年3月19日


































