水田雑草テーラーメイド防除 バイエル クロップサイエンスが発表2022年11月24日
バイエル クロップサイエンス(株)は11月22日、事業戦略発表会を開き、8月に就任した坂田耕平社長が同社開発の農薬とデジタル技術を組み合わせ、ほ場ごとに異なる雑草の発生状況に合わせて単剤を散布する「水稲雑草テーラーメイド防除」の仕組みを2023年産から提供すると発表した。
坂田耕平社長
これまでの除草剤は、一発処理剤など混合剤で生産者の利便性を高めることをめざしてきたが、水田雑草テーラーメイド防除は単一成分剤の組み合わせで、ほ場ごとに発生状況が違う雑草を有効に防除するという考え方だ。
ほ場診断によって雑草の有無や種類を調べ、生産者の目標などニーズもふまえて、薬剤と薬量、散布時期をカスタマイズする。
コスト削減とともに環境負荷を減らすためのシステムでもある。
同社は22年春にカウンシルワンSCを初め3剤の高濃縮製剤を登録し、さらに23年に1剤を追加登録し単剤のラインナップを充実させ、たとえば、ノビエは発生しているがカヤツリの発生はないというほ場に最適の単剤組み合わせを提案する。
提案のために、ほ場の診断から処方提案まで一気通貫でサポートするウェブアプリを開発する。地図データと結びつけて生産者がほ場を選択し、これまでの経験をもとに雑草の種類や密度などほか、栽培方法(移植、直播)、代かきから田植までの日数などを必要なデータを入力すると、その選択したほ場に最適の処方が提案される。
それをもとに生産者は薬剤を購入し散布する。散布では、XAGドローンによる自動航行散布も広げたい考えだ。このドローンを航行させるためのRTK基地局を2023年に100基設置し、日本のほ場の90%をカバーするという。
そのほか利用者と同社の技術担当者などがコミュニケーションを図るプラットフォームも作成する。
毎年の効果の検証を積み重ねることによって防除のための処方箋を進化させることも可能になる。生産者の負担は薬剤費用だけでほ場診断のためにアプリなどの利用に料金はかからない仕組みにするという。
同社はこのテーラーメイド防除で▽最大30%のコスト削減、▽最大50%の薬量削減、▽ドローンと組み合わせによる散布時間の半減、▽高濃度製剤による軽量化で輸送時の温室効果ガス排出の削減の4つをめざすとしている。
農水省は、みどりの食料システム戦略で2030年までに化学農薬の使用量(リスク換算)を10%削減する目標を掲げている。坂田耕平社長は「課題であり新しい事業機会でもある。またとないチャンス」と話し、「農薬を売る」から防除の実効性を高め収量増収につなげるなど「農家の価値創造」へとビジネスモデルを転換していく方針を強調した。
2023年は大規模農家を中心に試験的に取り組み、アプリやコミュニケーションプラットホームの改良なども進め、2024年から本格的に普及を図る。
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