農薬:防除学習帖
野菜の病害防除5【防除学習帖】第51回2020年5月15日
5.ピシウム病
(1)病原菌
ア.菌種病原菌はべん毛菌類に属する糸状菌(かび)であり、ショウガの根茎腐敗病など比較的低温(15℃~25℃)を好むものから、トマト綿腐病など高温(25℃~35℃)を好むものまで適温域が菌によって異なる。一般に、高温で湿度の高い育苗施設では、苗立ち枯れ症状を起こす。主に土壌に残っている残渣等から遊走子のうをつくり、直接発芽や関節発芽(遊走子のうから遊走子を放出する)によって作物に感染する。
イ.病徴最初、地際部分から発生し、茎や根の一部が水浸状に変色軟化し、腐敗・倒伏・枯死するのが一般的な症状である。病斑の周辺部には白色の綿状のかび(菌糸)が付着していることが観察されることが多い。腐敗しているので葉鞘を引くと容易に引き抜けることが多い。
ウ.被害根や葉鞘基部の機能が失われ、倒伏、枯死など生育不良を引き起こす。
(2)生活環
被害作物とともに土壌中で越年し、被害作物残渣上に形成された遊走子のう(第一次伝染源)が直接発芽して感染するか、あるいは間接発芽によって遊走子を放出し、それが水を介して気孔から侵入し,二次伝染が起こる。作物に侵入した後は、病斑上に遊走子のうをつくり、降雨や灌水などの水の動きを介して伝染拡大していく。
(3)防除法
ア.耕種的防除
多湿が要因となって発病が多くなるので、できるだけ湿度を下げた栽培を心がける。特に、土壌が過湿にならないよう注意する。(1) 育苗培土は消毒済のものを使用し、育苗施設などの消毒を徹底する。(2) 低湿地での栽培を避け、できるだけ高畝で栽培する。(3) 可能であれば雨除け栽培に取り組む。(4) 第一次伝染源を減らすよう、病斑のついた作物残渣は圃場外に出して処分する。(焼却が可能な地域であれば焼却するとよい) イ.化学的防除
(1)土壌消毒の徹底ピシウム病は、土壌を介して発生するので、土壌消毒を徹底するか、薬剤の土壌混和、土壌灌注処理などを実施し、土壌に存在する病原菌を死滅させることが肝要である。
(2)治療効果は期待しない他の病害と異なり、発病後に散布して効果を示す薬剤は無いと思った方がよい。発生前の予防処理を徹底する。
別表にピシウム病に登録のある代表的な農薬を整理したので参考にしてほしい。
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