農薬:年頭あいさつ2015
小川 奎 氏(公益財団法人 日本植物調節剤研究協会 理事長)2015年1月1日
平成27年の年始にあたり、農業関連団体から農業協同組合新聞・JAcomに寄せられた年頭のごあいさつを紹介します。
農業現場からのニーズに応えて
除草作業の労力軽減に貢献
新年おめでとうございます。
担い手の高齢化や不足に加え、TPP交渉の成り行き、再生産を危うくする米価の下落、農協改革の嵐など、農業を覆う厚い雲から抜け出し、この新たに迎える未年こそ、スッキリと晴れ渡った、安泰で平和な年であることを祈りたい。
◇ ◇
昨夏、美しいスイスアルプス地方を旅した。スイスを支える主な産業は、時計などの精密機器、金融や保険、そして観光である。その一方、農林業はGLP比0.7%と、日本の1.2%よりも小さい。全人口に占める農業人口の割合も、日本の1.8%よりさらに少なく、0.6%である。しかも耕地の大半は山岳地帯で、粗放的な放牧が中心では、とても生産性や収益性の高い農業のようには見えない。しかし、観光ガイドによると、「美しい風景は国家としての信用を高める。それを創り出し、守り手である農林業を国として重要視している」と言う。農林業がもたらす恩恵を、国民がしっかり理解しており、何とも羨ましい。
◇ ◇
わが国では、食料・農業・農村基本計画の見直しのなか、目標通りになかなか上がらない食料自給率に代わって、食料自給力を新たな指標に加えるという議論が起こっている。食料自給力は、農地・農業用水等の農業資源、農業者(担い手)、農業技術といった潜在的な国内農業生産能力とされている。しかし、これらの要素は、日頃から産業としての持続的な営みのなかで磨き込まれてこそ、世界的な食料不足といった緊急時を含め、わが国の食料供給の基盤を安定させるものであろう。
◇ ◇
植調協会は、昨年創立50周年を迎えた。これまで、農作業の省力化や生産性の安定に役に立つ「除草剤」や、作物の生育を制御し、品質向上や不良条件での収量の安定、管理作業の軽労化を助ける「植物成長調節剤」、の開発やその進歩、そして適正使用の普及に貢献してきた。
これからも、これまでの実績と信頼の上に立って、植物調節剤に対する農業現場からのニーズや問題解決に応えるため、農薬メーカーをはじめ公的研究機関、普及との連携を一層強め、その先頭に立ってチャレンジして行く決意です。
今年もよろしくお願いします。
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