輸入食品の安全性確保へ 意見書提出2018年2月22日
・厚労省の輸入食品監視指導計画案で日本生協連
日本生協連は2月20日、厚生労働省がまとめた「平成30年度輸入食品監視指導計画」(案)に対する意見書を同省に提出した。
厚労省では毎年度、同計画を実施し、輸入食品の重点的、効率的な監視指導を推進することで輸入食品の一層の安全性確保に取り組んでいる。
生協や組合員にとっても、輸入食品の安全性の確保は大きな関心事であり、毎年度、同計画案に対して意見を提出し、その声が反映されるようにしている。
意見書によると、近年は、少量で高付加価値加工食品の輸入増加が見られ、2020年開催の東京五輪・パラリンピックの開催や日・EUEPA、CPTPP(包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定)への対応などから、さらにその傾向は強まると予想し、意見書を提出した。意見の内容要旨は次の通り。
【HACCPによる衛生管理導入の着実な推進】
食のグローバル化が進み、輸入食品の届出件数が増加する中、輸入実績のない国や食品に関する基準違反リスクが増加している。輸入食品の安全性を確保するためには、水際の検査強化だけでは不十分であり、特にHACCPによる衛生管理の徹底化を丁寧かつ継続的に進めること。
また、食品衛生法改正で国内事業者にHACCPによる衛生管理が義務づけられるが、消費者にもHACCPへの理解促進を図る取り組みの強化を求める。
【輸入者への衛生管理指導の強化】
計画案で示された輸入者による自主的な衛生管理、特に基本的な事項の指導や輸入前指導に力を入れる方針は安全性の確保や法令違反食品を減らす上で効果的。しかし「健康食品に関する健康被害情報の確認の指導」の記述が本文に記載されておらず、その記載と明確な位置づけを求める。
【食品衛生監視員増員などによる体制強化】
食品衛生監視員の増加やスキルアップなど、人的体制の強化については今般予算で増額されたので、より積極的な増員を引き続き求める。
【食品防御問題に対する関係機関との連携強化】
食品防御(フードディフェンス)への対応は、加工食品全般の重要課題。経済連携協定などが進むと、貿易の流れや質量で変化が起こり、予測不能のリスクの発生も考えられる。輸出国情報の収集や有毒・有害物質の意図的な混入防止のための調査研究などについては、国内外の関係機関との連携強化をより一層求める。
【輸入食品に対するリスクコミュニケーションの強化】
輸入食品に対する一般消費者の不安解消のため、そのリテラシー向上を進めながら、特にリスクコミュニケーションを重視した取り組みを望む。厚労省公式の「食品安全情報見ツイッター」などを活用した情報提供には今後も期待する。
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