食品ロス量は6年ぶり増で523万トン 国民1人1日茶碗一杯のご飯に相当 コロナ禍で需要予測のブレ影響か2023年6月9日
農水省と環境省は6月9日、2021年度の食品ロス量の推計値を公表した。全体で523万トンで前年度より1万トン増え、6年ぶりに増加に転じた。国民1人当たりに換算すると1日約114gとなり、茶碗1杯のご飯の量に近い。家庭系で3万トン減少した一方、事業系で約4万トン増えており、農水省はコロナ禍で行動制限が重なる中、突然のイベント中止などで事業者の需要予測にブレが生じたことなどが影響したとみている。

農水省の資料より
食品ロス量の内訳は、家庭系が244万トンで前年度から3万トン減。事業系が279万トンで前年度から4万トン増えて全体で1万トン増えた。全体の食品ロス量は2015年度の646万トンから5年連続で減少が続いていたが6年ぶりに増加に転じた。
事業系の食品ロス量の内訳は、食品製造業が125万トン(前年度より4万トン増)、食品卸売業が13万トン(前年度と同じ)、食品小売業62万トン(同2万トン増)、外食産業で80万トン(同1万トン減)となった。
同省はこの結果について、コロナ禍で消費者の行動制限などがたび重なる中、予定されていたイベントが突然中止されて食品が廃棄されるなど、事業者の需要予測が難しく、ブレが生じたことなどが食品ロス増加に影響したとみている。ただし、コロナ禍前の19年度に比べると30万トン少なく、外食産業で市場の縮小が続いていたことで全体的には低水準となっている。
農水省によると、食品ロス量の523万トンを国民1人当たりに換算すると、1日約114gで茶碗約1杯のご飯の量(約150グラム)に近い。また年間では約42キロとなり、年間1人当たりの米の消費量(約51キロ)に近い量となる。

食品ロスをめぐっては、国連の「持続可能な開発目標」で世界全体の1人当たりの食料廃棄を半減させることが盛り込まれたのを踏まえ、政府は2030年度までに2000年度比で半減させるとの目標を掲げ、全体で489万トン、事業系では273万トンと目標を定めている。
このうち事業系は279万トンだったことから、数字上は目標値に近づいているが、農水省は「コロナ禍の行動制限や市場の縮小の影響で低水準になっているとみられ、経済活動の拡大に伴って食品ロスが増える可能性が考えられる」と話し、目標の達成に向けて楽観できないとみている。このため事業者に対し、納品期限の緩和など商慣習の見直しを促すとともに、フードバンクとの連携して未利用食品を有効活用することを促すなど、食品ロスを防ぐ取り組みをさらに強化することにしている。
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