新規就農者 7割が農業規模の拡大めざす 農業経営実態アンケート 産直アウル2023年9月22日
農林畜水産物の産直サービス「産直アウル」は8月16日〜8月27日、産直アウルに登録する生産者105人(うち新規就農者は89人)を対象に農業経営の実態を調査。現役の新規就農者の農業規模は比較的小さい傾向にあるが、回答者の約70%が将来像として「農業だけで生計を立てる」「法人化して規模を拡大する」と回答し、現在の農業規模をさらに拡大していきたいという希望を持つ新規就農者が多くいることが明らかになった。
同調査によると、「農水畜産業以外の収入はありますか?」という質問に、新規就農者の約45%が「はい」と回答。一方、新規就農者ではない非新規就農者に同様の質問をしたところ、「はい」の割合は約30%にとどった。副収入の内訳としては最も多かった順に自営業、パート・アルバイト、企業などへの正社員勤務となり、そのほか投資や不動産賃料の収入があるという回答もあった。
また、新規就農者は非新規就農者と比べ、農作業などを家族と行う割合が少ないことがわかった。新規就農者の31.5%が「基本的に一人で行う」と回答した一方、非新規就農者には「基本的に一人で行う」と回答した人はいなかった。
農業を続ける上で不安なこと、それでも続ける理由
新規就農者に農業を継続する上での不安要素を尋ねると、約半数が「販路の獲得」「天候不順などによる計画の乱れ」の2つを選んだ。また、新規就農の不安要素として一般的なイメージである収益化や資金調達、人手不足 などを不安要素として選ぶ新規就農者は約30%見られた。
こうした不安もある中で農業を続ける理由についての記述回答を分類すると、最も多かったのは「農業が好き、面白い、やりがいがある」という声。また、「自分の軸で生活を送ることができる」「自分が作る安全な食材を日本に届けたい」という声が多かった。
90%以上が販路開拓・集客活動を行う傾向
販路の開拓や集客などの活動について、90%以上が何らかの活動をしている、または関心があると回答。新規就農者は食材の生産だけでなく、経営者視点で「商品を売る」ということに関する活動に積極的に取り組んでいることがわかった。
実際に産直EC以外の販路を見ると、新規就農者の間ではJA全農(農協)などの大きな卸し先以外にも、複数の販路を持っていることが判明。新規就農者が不安要素としている販路の獲得に向け、活動に力を入れていることがわかった。
約70%が「農業だけで生計を立てたい」「農業規模を拡大したい」
将来的な状態を尋ねると、「農業だけで生計を立てたい」と答えた割合は38.2%、「農業規模を拡大したい」と答えた割合は28.1%と、合わせて約70%。新規就農者は「副業をしながら・一人で営農する」割合が多い傾向にあるも、現状よりさらなる拡大を目指している。
現役の新規就農者、生の声:就農者を増やすために必要なこと
さらに、今後日本の就農者が増えていくために必要なことについて問いかけたところ、「栽培作物の選定や栽培計画の立て方、台風対策等の講習、必要な補助金などを確保できるようにすることが必要」など、就農者に対して軌道に乗るまでの支援や経営計画のサポートが必要という声もあった。一方で、「経費のほとんどは高騰する一方作物の価格が低迷している」「希望価格以下では販売されないようにする」など、生産コストが高騰する中で生産品を適正価格で販売することを求める切実な声も多かった。
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