穀粒判別器で変わる農産物検査 (株)ケツト科学研究所2020年10月26日
着色粒や死米などの混入割合を測定し、米の外観品質を評価する「穀粒判別器」。農産物検査はこれまで検査員の目視で行われてきたが、農産物検査の合理化を目的とした農水省の告示改正により、農産物検査の一部項目で2020年から新型穀粒判別器による鑑定が可能となった。日々進化する穀粒判別器のパイオニアとして挑戦を続けるケツト科学研究所技術部門渉外部署長の江原崇光氏に話を聞いた。
「RN‐700」(左)、専用のPCソフトウェアでデータを視覚化(右)

ー穀粒判別器の開発経緯と「RN‐700」の特長をお聞かせください。
当社は1984年に日本で初めて米用の穀粒判別器の開発をスタートしました。最新モデルの「RN‐700」は初代の穀粒判別器から数えて5代目となり、2013年から開発を進め2017年に販売を開始しました。
農産物検査と遜色のないデータが得られることを最大の目的に、まずは徹底的なコストダウンとユーザーの元で壊れにくいメンテナンスフリーを目指し、これまでの穀粒判別器にあった駆動部をなくしたモーターいらずの穀粒判別器の開発を目指しました。今までは機械そのものより、駆動部の部分が故障につながったり、直接機械に米を投入していたため、そこから虫が発生する原因となっていました。これらの改善により、他社製品と比べても、価格面の安さと故障が一番少ないことは当社製品の強みといえます。
トレイ上の米を一粒ずつ判定
同製品は、玄米をトレイに広げて差し入れるだけで外観判定できる仕組みを採用しており、1000粒をPC併用で約15秒、単体でも約40秒で判定できます。内部には粒の特長を強調する反射光画像用LEDと透過光画像用LCDを搭載しました。3回の撮像により、光を透過しにくい心米・乳白の判別や着色粒、胴割粒などを画像判定することができます。農産物検査モードの測定項目では着色粒、死米、胴割粒、砕粒、白未熟粒が可能となっています。
また、オプションのPCソフトを使用すると、判定結果が数値だけでなく、実際に撮影された画像に重ねて、トレイ上の米一粒ずつの判定結果を確認できます。さらに、一粒ごとの分類だけでなく長さや幅、面積も測定され、ヒストグラム表示で全体的な分布を視覚的に把握することが可能となりました。
ケツト科学研究所外観
ー採用状況と穀粒判定器「RN‐700」の今後の可能性はいかがでしょうか。
開発当初からさまざまな意見を聞いたり、これに付随したソフトウェアの開発で、全農パールライスから協力を得ました。まずは全農パールライスの10工場で初めて採用され、今年発売から3年が経過し、来月福岡県内で稼働する新工場への導入も決定しています。
また、今年の初めから農産物検査に穀粒判別器が使用できるようになったことを受け、外食や中食業界から使用している米の品質を確認したいというニーズが高まる中で、問い合わせも多数いただいており、順調に販売を伸ばしています。こうした動きを産地に提供しながら、同時にこの製品についての情報も発信したいと思っています。
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