【2025農林業センサス】集落調査の修正案公表 自治会長を対象に 農水省2023年2月14日
農林水産省は2月13日、21日に開催する第5回2025年農林業センサス研究会に示す農業集落調査の修正案を公表した。
研究会は2025年に実施する農林業センサスの調査事項や手法などを検討することを目的に開き、農水省は昨年7月、農業集落調査を廃止する方針を示した。
11月には廃止するとしていた方針を見直し、農業経営体調査に集落活動などの調査項目を追加した手法で行う案を示し、12月には自給的農家しかいない集落も調査する再修正案を示した。
しかし、複数の農業経営体から集落活動について回答にばらつきが出たり、無回答もあるなど統計として科学的根拠に懸念を示す意見も出ていた。集落活動については自治会長など責任を持って回答できる人を対象にすべきとの指摘もある。
これらを受けた今回は第3次修正案となる。
同案では調査対象者について、農業集落ごとに以下の順で1人の調査対象者を選定するとしている。
(1)自治会長・行政区長等。市町村が農林業経営体調査候補一覧を作成するときに、自治会長であることをが確認できた者に印をつけて把握するという。
(2)自治会長・行政区長等がいない場合は、個人経営体(1戸1法人を含む)とし、(ア)「地域計画」における地域内の農業を担う経営耕地面積が大きい者、(イ)アに該当する経営体がいない場合は、認定農業者及び認定新規就農者のうち、経営耕地面積が大きい者、(ウ)ア及びイに経営体がいない場合は、集落内の経営耕地面積が大きい者。
「地域計画」と地域で将来の農業のあり方を協議し、農業を担う人に利用する農地を定め地図化するなど取り組み。市町村は2025年3月末までに策定することになっている。
(3)個人経営体がいない場合、農業集落内の自給的農家、土地持ち非農家、その他の世帯のうち経営耕地面積が大きい者、としている。
基本は前回調査と同じように自治会長を把握、1人から集落の寄り合いの実施回数や議題などを聞くとしており、複数の住人から回答を得ることはしない。調査事項は2020年調査と同じ内容とする。
ただし、調査対象者自身では十分な回答ができない場合は、農業集落内の他の者から聞き取って回答してもらうとしている。
調査の方法は民間事業者から調査対象者への往復郵送調査とするとしている。
農水省は同時に「2020年農林業センサスにおける農業集落精通者の把握状況」も公表した。自治会長など精通者の情報については調査1年前から市町村に情報提供を依頼し、地方農政局職員による対面での依頼も行ったが全国約14万集落のうち、450市町村の約5万集落からは集落精通者の情報が得られなかったとしている。そのおもな理由として個人情報保護条例の目的外使用となる、自治会連合会として名簿提供しないことが決議されていたなどを挙げている。
そのうえで調査は民間事業者に委託しているが、集落精通者が特定できなかった集落調査について「調査実施者の責務として地方農政局職員が対応して調査を完了」した。しかし、地方農政局員は年々減少し「次回2025年調査において同様の対応を行うことは不可能」と強調している。
農水省によると地方農政局等の統計担当職員は、2010年センサスでは約2600人、15年センサスでは約1900人、20年センサスでは約1300人と減少している。
第5回研究会は2月21日午後に開かれる。
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