NTTと北海道大学の農業分野での共同研究 デジタルツインでデータ収集のプラットフォームに 社会実装へ関係者と連携体制も2025年5月8日
4月7日に北海道大学と一次産業における「ビジョン共有型共同研究」を開始したことを発表した日本電信電話(NTT)。共同研究は2者それぞれの強みを持ち寄り「サステナブルで超省力、高品質生産可能な未来の一次産業モデルを協創し、社会実装をめざす」としている。このうちスマート農業はすでに様々な商品やサービスが提供されている。NTTに共同研究の具体的内容や、2者以外との連携などをどのように進めるのかを聞いた。
――スマート農業に関する研究やサービスは、多くの生産資材やIT関係企業が様々な取り組みを行い、農業現場にも導入されている。
屋外での露地栽培を対象とした研究としては、ドローンを活用した畑や水田を上空から撮影したデジタルツインの取り組みはありました。ただし、2次元的な画像解析による状態推定の研究であり、作物の側面の立体的な形状解析や育成状態の自動記録までは実現されていません。今回は、果樹園をロボットが走り回り移動センシングをしたデータから、生育状態を把握して適切な農作業計画の立案支援することをめざします。
また、農機の遠隔監視や遠隔操縦を安全に行うために、監視映像の品質や遅延がどの程度であればよいかという指標はこれまでありませんでした。そのため、安定的に監視・操縦ができているか把握するためには、作業者の主観に頼る必要がありました。今回は、映像品質や遅延が遠隔監視・操縦に与える影響を評価し、指標化することで、より実際の農機の遠隔監視・操縦作業に適合した農機制御を実現します。
――既存の研究や商品、サービスとの連携の可能性は。
NTTグループでは様々なグループ会社が一次産業分野で商材提供を行っています。共同研究テーマであるデジタルツインは、様々なデータを集約するプラットフォームになると考えられますので、既存のNTTグループのサービスやソリューションで得られる、天候やほ場の状況、作物の生育状況といった情報を集約した作物の高精度な生育予測の実現などを考えています。その一方で、全てをNTTグループだけで作り上げることはできませんので、必要な部分につきましては順次連携するパートナ様にもお声がけして、連携を広めていきたいと考えています。
――栽培技術や営農指導では、農研機構やJA全農、JAとの協力・共同の活動が不可欠だ。協力・連携に関する考えは。
例えば、デジタルツインに農研機構様のWAGRI(気象や農地、収量予測など農業に役立つデータやプログラムを提供する公的なクラウドサービス)のデータを重畳させるなど、私どものケーパビリティでは不足する部分の連携は十分に考えられるかと思います。また、地方自治体の普及センターなどとの連携はもちろんのこと、最終的に各地域の農家の皆様に寄り添うサービスを考えた時、各地域のJA様との連携は極めて重要と考えております。
――農水省をはじめとした、国や自治体も様々な農業支援制度を作っている。
農業・食品産業には多くのステークホルダーが存在しますので、社会実装に向けてはその関係者と柔軟かつ効果的な連携体制を構築することが必要です。その体制作りにおいては国・自治体の支援は有用で、特に農水省のスマート農業技術の開発・供給に関する事業の活用などは十分に考えられるかと思います。
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