イチゴ収穫で遠隔収穫ロボット操作に成功 ネットワークとサーバが連携して通信品質を制御 NTTグループ2025年5月13日
NTTとNTT東日本、NTTアグリテクノロジー(東京、酒井大雅社長)は、ほ場にある収穫ロボットをネットワーク越しに遠隔操作し、イチゴを収穫する実証実験を行った。実験では、ネットワークの品質状況に応じたリアルタイムな動作制御により、高い操作性を維持した遠隔収穫作業が可能であることを確認した。この結果から、様々なシーンで遠隔操作が可能となり、人手不足解消につながるとしている。
遠隔収穫システム構成図
スマート農業でも農作業の多くは人手に頼り、人の判断を伴う遠隔操作ロボットの活用が重要だ。実用化には、ネットワーク遅延などの情報を画像処理により可視化する必要があり、高負荷状態で遅延が大きくなった場合にも操作性を低下させない仕組みが必要となっている。
実験では、東京のロボット操作者がイチゴの収穫適否を画像処理した映像を見ながら、秋田県のほ場にあるロボットを遠隔操作して、約400km(秋田-東京間直線距離)離れた場所のイチゴを収穫した。通信品質の変動にも高い操作性を維持し、ロボットを精度高く操作し、イチゴを傷つけずに収穫できることに成功した。ネットワークとサーバが連携した品質制御(ネットワークコンピュート高速クローズドループ制御技術)で、高度なイチゴ収穫動作でも遠隔操作が可能となり、ユーザビリティの高いスマート農業の実現につながるとしている。同技術は「つくばフォーラム2025」(5月15、16日)で展示する。
技術ポイントと実験結果
システム連携機能
両拠点は光アクセス回線とインターネット回線で接続。収穫ロボットのカメラが撮影した映像を画像処理用サーバがイチゴの収穫適否を判定し、操作者はモニタに表示された情報が表示される映像を見て収穫する。モニタの表示情報とロボットアームの速度をエンドツーエンドの遅延時間に応じて変更する機能を実装し、収穫作業の操作性をどの程度向上させたのかを検証した。
遅延速度に応じた画面表示
イチゴの位置にロボットアームを1回の操作で正確に移動できた割合(成功率)を測定した結果、遅延が変動する環境では成功率約50%が、同機能の活用で約80%に向上する改善が確認された。被験者(5人)全員も操作性の改善を実感したと評価した。この実験結果により、通信品質の変動に対して農業用ロボットの操作性を改善するメリットを確認し、今後は人とロボットが融合した日本の新しい農業の形の実用化に向けて取り組むとしている。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(155)-改正食料・農業・農村基本法(41)-2025年8月16日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(72)【防除学習帖】第311回2025年8月16日
-
農薬の正しい使い方(45)【今さら聞けない営農情報】第311回2025年8月16日
-
(448)郷愁とノスタルジー【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年8月15日
-
あらゆる暴力の即時停止を 被爆・戦後80年にメッセージ発表 パルシステム連合会2025年8月15日
-
京都府「第3回京のこだわり畜産物レシピコンテスト」開催2025年8月15日
-
「パンのフェス2025」三井アウトレットパーク木更津で9月に開催2025年8月15日
-
機械審査なし「お米番付12回大会」エントリー開始 八代目儀兵衛2025年8月15日
-
東京23区の住民 過去1年間に森林を訪れたのは3人に1人 森林総研2025年8月15日
-
【サステナ防除のすすめ2025】秋冬野菜の病害虫防除 異常気象こそ先手対応を2025年8月14日
-
見なくなった案山子、燕・雀・烏【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第353回2025年8月14日
-
花がよく売れるお盆・彼岸から見えてくる花産業の問題点【花づくりの現場から 宇田明】第66回2025年8月14日
-
渡り鳥「キビタキ」「ノビタキ」越冬地との間の移動経路を明らかに 森林総研2025年8月14日
-
国産・添加物削減・減農薬にこだわり「デポー国領駅前」リニューアルオープン 生活クラブ生協2025年8月14日
-
果実のフードロス削減・農家支援へ「キリン 氷結 mottainai 浜なし」再登場2025年8月14日
-
【役員人事】バイエル(9月1日付)2025年8月14日
-
「地元で働きたい」に応える 地域限定採用で安定雇用も実現 パルシステム埼玉2025年8月14日
-
政府の「米増産」方針 立ちはだかる「壁」と拭えぬ不安 産地JAと米農家の声2025年8月13日
-
【サステナ防除のすすめ2025】果菜類(施設)編 太陽熱で死滅狙う(1)2025年8月13日
-
【サステナ防除のすすめ2025】果菜類(施設)編 太陽熱で死滅狙う(2)2025年8月13日