「イミダクロプリド」は農水省再評価前から自主的に制限 環境に調和した持続可能な農業へ バイエルクロップサイエンス(2)2025年5月15日
農水省が農薬取締役法(農取法)に基づき、ネオニコチノイド系殺虫剤成分の一つ「イミダクロプリド」のミツバチへの影響評価について再評価を行い、使用時期や場所を限定するなど適切なリスク管理を行えば影響はないとし、パブリックコメントを実施した。イミダクロプリドを含む製品「アドマイヤー」を販売するバイエルクロップサイエンスは「再評価前の2021年9月に登録内容を変更し、使用場所や使用時期を自主的に制限」し、農薬使用者、ミツバチ等の花粉媒介昆虫への安全性のさらなる向上に努めてきたという。農薬登録責任者である同社レギュラトリーサイエンスCPの佐川紀文氏に今回の評価や今後の対応策などを聞いた。
――再評価の結果が出る前の対策について。
イミダクロプリド剤について、2021年9月に登録内容を変更し、使用場所や使用時期を自主的に制限しました。再評価終了時に使用方法が変更される剤が多いと思いますが、当社は企業ミッション「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」のもと、全世界で環境に調和した持続的な農業の実現を目指しています。そのため、ビジネスへの影響を考慮すると難しい判断ではありましたが、ミツバチへの影響を軽減し、農薬の安全性のさらなる向上を第一に考え、再評価申請を待たず、自主的に制限することにしました。
今回の農水省による再評価でミツバチへの被害防止方法が追加された部分がありますが、この評価結果は当社が行ってきた自主的な制限内容とほぼ同等の内容でした。ミツバチへの被害を防止するための使用方法の内容は、既にラベルに反映されていますので、ラベル通りにお使いいただければ、ミツバチに対する安全性の点では基本的には 問題ないと考えています。今回の評価で被害防止方法が追加された一部の使用方法についても、速やかに対応していきます。被害防止方法は再評価終了後にラベルに反映されますが、再評価が終わる前でも、ホームページに被害を防止する使用方法を紹介しています。また、都道府県の防除担当の方にも情報を提供しています。今後は弊社の営業担当者や農薬の使用現場での啓発を継続的に取り組むことで、農薬使用者、ミツバチ等の花粉媒介昆虫への安全性のさらなる向上に努めていきたいと考えています。
――ミツバチ以外の人体や生態系への影響は。
人体への影響は食品安全委員会の評価がちょうど同じタイミングで終わっています。影響を指摘する論文も含めて、ADI(1日摂取許容量)などの値を委員会が出していますので、それを超えない範囲であれば問題ないというのが弊社の見解です。食品安全委員会は公表文献を丁寧に見ていただき、たいへん時間をかけて審議をされました。再評価では当局が定めたガイドラインに則り文献の調査をしますが、イミダクロプリドでは9000以上の文献を収集し、一定の基準で評価に使えるか否かを1つずつ分類しました。ここでも恣意的な選定にならないように、きちんと基準が決められています。 一般の方からも情報を出してもらう仕組みも設けられており、評価に反映されます。文献は食品安全委員会に送られ、委員会の中で専門委員の科学者が科学的な評価を行い、最終的にADIやARfD(急性参照用量)を決めています。
人体に限らず、環境省による生物や環境への影響の評価も同様に、我々の出すレポート以外にも文献を全て集めて評価されます。ミツバチの評価が終わったので、これから野生のハナバチの評価が進められますし、その他に魚等の水生生物、鳥への評価も行われます。こうして総合的な再評価になっていきます。
――農薬使用者への影響と対策は。
今回、評価が拡充され、農薬を使う方に対する安全性の評価も始まっています。気化しやすい農薬使用時にはマスク装着するなど、農薬ごとに必要な装備も変わりますが、弊社では以前から安全性を確保して使用していただくために、自主的に防護装備をラベルに記載したり、啓発活動にも取り組んでいます。イミダクロプリドについても、食品安全委員会の評価が終わった後に、農水省の農薬使用者安全性評価部会で農薬使用者への影響の評価が行われます。
私たちは農薬メーカーとして、安全性の向上を最も大事にしています。きめ細やかな再評価は人だけではなく環境生物にも行われます。より安全性の高い農薬や使用方法が残っていくでしょう。こうした再評価のシステムは弊社のミッションポリシーとも非常に合致しています。農薬が環境や使用者、消費者にとってより安全性の高い方向に進化することで、持続可能な農業と食料の安定生産に貢献していきたいと考えています。
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