「死亡事故ゼロをめざして」農作業安全確認運動2013年8月29日
平成25年秋の農作業安全確認運動推進会議を開催
農水省は8月28日、JAグループや日本農村医学会、全国農業会議所、各農機メーカーなどを交えて平成25年秋の農作業安全確認運動推進会議を開いた。
◆農作業安全は営農の基本
この会議は、9月1日から始まる秋の農作業安全確認運動に向けて、春の運動成果と秋の運動方針、各団体・メーカーなどの農作業安全の取り組みを紹介しあい、より連携して運動を進めようと開かれた。
加治屋義人農林水産副大臣は冒頭のあいさつで、「農作業で毎年400人が亡くなっており、心を痛めている。事故を起こすことなく安全に農作業を行うことは営農の基本。地域ぐるみでの安全運動を推進し、死亡事故ゼロをめざしてほしい」と運動の成果に期待を寄せた。
また、春の運動期間に行われたポスターデザインコンテストの受賞式が行われ、農林水産大臣賞を受賞した農機メーカー(株)タカキタの中内希衣さんが表彰された。
中内さんの作品は秋の運動ポスターに採用されており「1人でも多くの農作業者の安全に役立てれば嬉しい」とコメント。2年連続で大賞受賞者を出したタカキタの松本充生社長は、「農機を供給する側として、少しでも安全活動の推進に貢献していきたい」と語った。
(写真)
表彰式を受けたタカキタの中内さん(中央)と松本社長。右は加治屋副大臣
◆「+(プラス)安全」が大事
秋の運動の重点推進テーマは「一人ひとりが主役 広げよう!安全確認」だ。
このテーマには、「国から安全に気をつけよう、と呼びかけてもなかなか事故は減らない。地域単位、個人単位で1人ひとりが事故を防ぐ努力をして、周知していってほしい」(農水省生産局農産部技術普及課)との思いが込められている。
運動の重点的取り組みは、[1]安全対策実践体制の構築[2]「+(プラス)安全」の取組[3]ポスターやステッカーを配布するなどの周知広報活動、の3点ある。
[1]では、JA、地方自治体、農業団体などが中心となり、事故防止のための地域リーダー、コーディネーターなどの育成を支援しようという取り組みなどがある。これは、平成25年度から新たに予算化され、現在事業主体を公募している。
[2]は「農業者のなかには『自分は事故を起こさない』との過信する人も多く、なかなか農作業安全だけの講習会やセミナーでは関心が集まらない」との問題から、農機の展示会や、営農技術の講習会などとあわせて事故防止を呼びかけていこうという取り組みだ。
23年から始めた農作業事故の対面調査を見ると、雑草が生い茂っていて土手と道の境がわからなかったとか、野火が思わず飛び火したとか、些細な不注意から大事故につながったケースが多い。「事故に遭われた人は、担い手とか地域のリーダーとか、むしろ熱心な人が多く、たった1人の事故でも地域農業全体への影響は少なくない」という。
◆農機購入と同時に労災加入する制度を
意見交換では、農業者の労災加入促進と高齢者への啓発をテーマに話し合われた。
労災については、「農業法人が規模拡大をする傾向にあるが、雇用が増えれば、各種保険や福祉は重要になる」として、経営者の意識改革や、その指導が必要だとの指摘があった。
また、韓国ではトラクターやコンバイン購入時に保険への加入が義務化されていることが紹介され、「クルマを買うときの自賠責加入のように、トラクターなど指定農業機械を購入する時には同時に労災に加入することを制度化すべきでは」との意見が出された。
高齢者への啓発については、JA共済連の高齢者向け交通安全運動の成果が例として出され、「農作業に限った運動ではないが、まさに『+安全』の実践だといえる。部会や講習会などどんな場面でも、例え15分でもいいので、DVDなどの資材を使うなどして、安全作業を呼びかてほしい」との呼びかけがあった。
(写真)
活発な意見交換がされた。
(関連記事)
・農機事故防止、地域実態に即して 農研機構調査(2013.08.09)
・「一人ひとりが主役」 秋の農作業安全確認運動(2013.07.23)
・農作業死亡事故366件 1990年以来最少(2013.04.08)
・「安全確認! みんな笑顔」 春の農作業安全運動ポスター作成 日農機協(2013.02.08)
・2月28日、農作業事故防止で集会 日農機協(2013.02.06)
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